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“mom-and-pop store”

  • 2024-02-22 (Thu) 14:48
  • 総合

 職場の机の中に常時置いて使っている三色ボールペンの赤ペンのインクが切れてしまった。赤ペンは採点などでよく使うのでグレーや青に比べて早くなくなったようだ。このボールペンはいつぞや人にもらったもので重宝していたが、赤ペンが使えなくなると不便を感じることは必至。新しい三色ボールペンを購入することになるかなと思ってはみたものの、赤インクのペンだけ補充することもできるかなと、時々利用している小さな文房具店をのぞいてみた。果たせるかな、私の三色ボールペンに使用可能な赤ペンがあった。88円。
 私は100円玉で支払いながら複雑な心境になった。いや、この文房具店をのぞくといつもそんな心境になる。あまりここで書きたくはない。要するに私はこの店では安価な文房具の類をたまに買っているに過ぎない。もっと高価なものを購入してあげたいとも思うが、いかんせん、そういうわけにもいかない。コンビニや百均ショップなどに押されてこうしたお店は苦境にあるのだろう。英語ではこうしたお店のことを “mom-and-pop store”(家族経営の小さな店)と呼んでいることを思い出した。「ママパパ店」という訳も見られたが、実際は “grandma-and-grandpa store” と呼びたくなる感じのお店だ。
 日本の繁栄は長年、こうしたお店によって下支えされてきたに違いないと思うが、淘汰されていく運命にあるのだろうか。申し訳なく思う気持ちが沸き起こるのはなぜだろう?
                  ◇
 オンライン英語教室で題材にしていたアメリカの短篇集「オー・ヘンリー賞」の最新2023年版を書店で買い求めようとしたが、さすがになかった。ネットで注文した。– The Best Short Stories 2023, The O. Henry Prize Winners—
 届いた堤を開封して愕然とした。中ほどの何十頁かが斜めに閉じられており、読むのに一苦労。不良品だ。普通の書店で買い求めたものだったら、間違いなく取り替えてもらえるだろう。ネット注文だとどうなるか。手続きがよく分からないから我慢することにした。不具合がある部分も何とか読めないことはないし、大半の頁は問題ない。
 それで暇を見て少しずつ読み進めている。読み進めてはいるのだが、これまでのオー・ヘンリー賞の短篇集と比べ、なんだか拍子抜けする感じがしてならない。これは読んで良かったと思える作品とはあまり出会わなかった。例えば、“The Blackhills” というアイルランドが舞台となった作品。北アイルランド紛争が背景にある作品と思われたが、登場人物がなぜ警察の捜査から逃亡しようとしているのかよく分からなかった。登場人物の肉付けが不足していて、消化不良のまま終わった。
 “The Mother” はアフリカ・ザンビア出身の作家の作品。幻想的な書きだしですぐにアフリカのどこか田舎の村が舞台となっていることは推察できた。オー・ヘンリー賞の受賞作品の中にはこの種のミステリアスなものがあり、私は嫌いではない。だが、この作品はいまいちという印象は拭えなかった。薄味とでも言おうか。
 オー・ヘンリー賞は毎年、受賞作品を選ぶ選者が変わる。今回の選者は優秀な作品ばかりで20の受賞作品を絞り込むのに苦労したと述べていた。おそらく選者が別の人だったら異なる作品が並んでいたことだろう。いや、きっとそうに違いない!

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