- 2024-01-17 (Wed) 07:47
- 総合
しばらく仕事から遠ざかっていると、すぐには仕事モードには切り替えられない。現役の身ではないのだからそれは致し方ないことか。20代の頃、君は70になっても働いているよと神様に言われたら、え?と思っていたことだろう。幸か不幸かそれが現実のものとなってしまった。実際にはこの年になっても職場があるということに感謝すべきことだろう。
公立中学校での英語の非常勤講師職の他にもう一つ仕事を抱えている。オンラインの英語教室。もっとも果してこれも仕事と呼べるレベルのものか甚だ疑わしい。わずか数人の受講生だからだ。だが、自分ではこれにもやりがいを感じている。もっと手を広げてやりたいとも考えているが、どうも思うようにはいかない。まあこれも神様の思し召しだろうと考えている。
そのオンラインの英語教室も年末からずっと休講で中だるみ状態。さてそろそろ1月教室の準備をしようと、受講生と一緒に読み進めている短篇小説の語彙集を作成し、受講生に和訳に挑戦してもらう課題文を選んだ。受講生の訳文が届くのを待ち、自分自身の訳文を推敲する作業が待っているが、訳文をあれこれ考える時間が楽しい。プロの作家が書いた短編小説を実際に翻訳して世に問うとなると大変な苦労を伴うことになるが、私の英語教室はあくまで英語理解、翻訳の鍛錬の場であり、気軽に英語の力、日本語の力をつけようという狙いだ。
正月休みを経て、今月下旬に読む箇所を改めてチェックしながら、語彙集を作り、課題文を選定し、自分でも訳出してみる。久しぶりの作業で楽しかった。このブログで過去に何度も書いたかと思うが、語彙集を作るだけでも以前なら大変な作業だったことだろう。手元に辞書辞典の類が必要だ。それがないなら、図書館に行き、調べるしか手はない。実際、過去に翻訳本を出した時には何度も遠くの図書館に足を運んだ。昨年来読んでいるのは日系英国人作家、カズオ・イシグロの短編小説集で欧米のジャズ歌手や作曲家らの名前が頻繁に出てくる。そうした世界に疎い私は難儀させられているが、ネットで調べると苦労せずに必要な情報はかき集められる。とても助かっている。
一般的な用語、知識もそうだ。例えば、今読んでいる “Malvern Hills”の舞台となっているMalven(モルバーン)という町。ロンドン北西部のWorcestershire(ウースター州)にある景勝地で、この町のことはネットで検索をかければあらまし分かる。ネットなかりせば大変な辛苦の末に獲得できる情報だろう。生成AI(人工知能)の功罪が議論されているが、私のような自由業の者にはとても有り難い。
ネットではモルバーン周辺の丘陵地帯の写真やビデオも鑑賞できる。そうした写真やビデオを眺めていると、遠くイングランドの風光明媚な地を散策しているような感覚も味わえる。私はウースター州の丘陵地帯にまで足を運んだことはないが、イングランド北部のヨークシャー地方はエミリー・ブロンテの名作『嵐が丘』の取材で歩き回ったことがある。夏の好天にも恵まれ、ロンドンの喧噪から隔絶された心地よい数日間を過ごすことができた。地元の人々もとても親切だった。ヨークシャープディングも美味だったような記憶がぼんやりと残っている。いつかまた再訪したい地の一つであることは間違いない。
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