- 2023-12-07 (Thu) 12:05
- 総合
久しぶりに再会した元同僚が飲み残した缶ビールは依然、冷蔵庫に収まっている。まだ全然我慢できるから心配はない。ただ、最近八百屋で里芋を見かけ、子供の頃、親父が炭火で焼いて焼酎の肴にしていたことを思い出した。私も少しおこぼれに預かり、熱い里芋をフーフー息を吹きかけながら皮をむいて食べたような記憶が・・・。
それで里芋を買い求め、焼酎の肴にすることにした。煮てもいいのだろうが、やはり思い出に浸るには焼きたい。炭火で焼くことはできないから、ガスコンロにアルミホイルを敷いて焼いてみよう。焼き上がったら、軽く醤油に浸せばきっと旨いはずだ。結果は目論見通りだった。土っぽい皮をむきながらふと思った。この皮にこそ栄養素があり、しかも美味では。
こういう時にはネット検索か食に詳しいI先輩に尋ねる。I先輩から早速返事が来た。「焼く前に水につけてしばらく放置した後、ごしごしこすり合わせると土が落ちる。皮には繊維質が豊富で捨てるのはもったいない」というアドバイス。ありがたい。期待した通りの見解だった。よし、これからは親父を偲んで精々里芋を焼いて皮ごと頂こう。
それでまたあることを思い出した。食材のすべてをありがたくいただくことを確か、英語ではwhole food(ホールフッド)と呼ぶのではなかったかと。英和辞書には「自然食品」とう訳が載っている。加工されていない食品ということか。いや、それだけではないはずだとネット検索してみると、「野菜であれば皮・種・葉・根まで、魚であれば頭から尻尾まで、素材まるごと食べること」と載っていた。自然の理にかなった食生活で健康作りか。I先輩は普段から「野菜は皮や種・根にこそ栄養がつまっている」と言われている。それで私も今ではゴーヤやピーマンなどは綿や種も喜んで頂戴している。You are what you eat!
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最近またテレサ・テンのヒット曲をネットでよく聴いている。テレサ・テンさんと書くべきだろうか。私は2年ほど前にこのブログで以下のように記している。――日本語の『つぐない』は多少の編曲(音痴の自虐的表現)を許してもらえるなら、最後まで歌い通すことはできる。だが、中国語の『偿还』はそうはいかない。彼女の歌声を聞きながら、歌ってみるが、どうも同じ歌を歌っているとは自分でも思えない――
『つぐない』は上記の通り、中国語では『偿还』という曲タイトルとなっている。(偿还とは償還=債務の返済)。今回は『偿还』の文言をプリントアウトして、「つぐない」の歌詞と見比べながら聴いてみた。それで分かった。『偿还』の歌詞は一編の詩のような味わいなのだ。窓に西陽があたってもおらず、子供みたいなあなたという記述もない。まあ、確かに、あすからというか、今では他人同士になってしまった男女は登場するもののだ。だから、『つぐない』の歌詞はすっかり忘れて『偿还』の世界に没頭するしか手はない。
それでも日中の歌詞の微妙な差異は興味深い。『つぐない』では女は別れた男に、早く私より可愛い人(女)でも見つけて、あなたの人生を生きてねと励ましている印象だが、『偿还』では女は男に対し、口の上でのつぐないなんか要らないわ、私は悲しみが募るだけよと責めている。日本人だから歌いやすいのは断然『つぐない』の方だが、歌詞の深さを感じるのは間違いなく『偿还』だろうか。
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