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待望の初秋

  • 2014-09-09 (Tue) 14:24
  • 総合

 机の上の温度計はただいま26.6度。湿度は61%。時刻はお昼過ぎの午後零時28分。玄関のドアと(書斎にしている)部屋の窓を開け放しており、時折、気持ちのいい風が肌を撫でていく。外出すると日差しはまだ強烈だが、待望の秋がすぐそこに来ているようだ。2月生まれの私だが、四季の中では秋が一番好きな季節。台風さえ来なければ、日本はずっと秋であって欲しいとさえ思う。「秋を愛する人は心清き人♪♪ 女は夜のにおい♪♪」。(FMラジオから「アマン」という歌謡曲が流れてきており、どうやら私の頭の音感が「混線」したようだ)
 「読書の秋」(“autumn, a nice time to read books”)の到来でもあり、本来なら、わずかな脳細胞を活性化させて机に向かうところであろうが、宮崎から戻って以来、なぜか軽い「虚脱状態」が続いている。いやいやこれではいかん、などと思いネットで注文して届いた本を読み始めているところだ。
 この本は “The Story of English” と題された本で、我々が知っている(と思っている)英語(English)の成り立ちを紹介した本だ。大学の授業で使える教材本として恩師が先日紹介してくれたばかりの本だ。この恩師とは先月末、集中講義をしていた大学でばったり遭遇した。古来から言われる通り、「もつ鍋は良き料理、持つべきは良き恩師だ」。
 備忘録的に時折、“The Story of English” の印象をここに記すのもありかなと思い始めている。「一石二鳥」(killing two birds with one stone)だ。
 イングランド(英国)に最初に住みついたのはゲール語を話すケルト系の人々。だが彼らはヨーロッパ大陸のローマ帝国、続いてゲルマン系のアングル族、サクソン族の侵略を受ける。さらには1066年、「ノルマン・コンクェスト」として知られるノルマン人の支配を受けることになる。フランス語を話すノルマン人の支配により、この年以降、英語は社会の片隅に追いやられるが、イングランドの一般庶民の言語としてしたたかに生き延び、その過程でフランス語、ラテン語など征服者の言葉を取り込んでいく。
 英語のそうしたしたたかさ、柔軟さの一例として、終戦直後の米軍が日本語から借用した言葉が紹介されていた。それは “honcho” という言葉だ。“squad-leader”という意味で使われているという。例文として “Who’s the honcho in this project?” という文章が載っていた。真っ先に頭に浮かんだのは「本町」という言葉だった。だが、これでは「リーダー」は意味しない。続いて思い浮かべたのは「本庁」という言葉。でもこれでもしっくりこない。不思議に思って、辞書を引くと、「日本語の『班長』という言葉に由来」と付記されていた。ああ、なるほど、 “hancho”という言葉が訛った結果の “honcho” かと合点が行った。
 この本によると、日本語は終戦後からだけでも、2万語の外来語を日本語の中に取り込んでいるとされていた。本当だろうか。いくら何でも多過ぎるのでは・・・。そうした外来語の例として、マンションやアイスクリーム、エスカレーターなどとともに、あるテレビ番組のタイトルが紹介されていた。“Reffsu Go Yangu”。私と同世代の人は懐かしく思い出すだろう。もちろん、毎週末、NHKで見たあの「レッツゴーヤング」(“Let’s Go Young”)だ。ネイティブの耳には「レフスゴーヤング」と聞こえたのだろう。

Comments:3

Taka Asai 2014-09-15 (Mon) 15:40

省一さん イギリスと言えば気になるのが目前に迫ったスコットランドの住民投票。独立運動には長い歴史があると聞いていますが、ロンドン支局勤務中、この問題について取材されたことはございますか。仮に独立賛成票が上回った場合、最大の問題は経済だそうですが(BBCは先日、北海油田の帰属問題を取り上げていました)、これについてどう思われますか。

nasu 2014-09-16 (Tue) 07:26

Asaiさん 18日の住民投票の結果を見て、ブログに書こうと思っていました。『イギリス文学紀行』でも取り上げた話題ですし、この種の事柄には大いなる関心があります。独立賛成、反対は拮抗しているようですが、私は最終的には反対派が勝つと見ています。独立・自立のロマンよりも、今日明日の飯(現実)の方が大事かと。いずれにせよ、国家とは何ぞや、という問題を考えさせる恰好の話題ですね。

Taka Asai 2014-09-16 (Tue) 18:45

省一さん おっしゃる通りだと思います。impartialityであるべきエリザベス女王の先の発言が現実論に立脚したものであるとすれば「政治的介入」という各紙の批判も的外れでないわけですね。個人的な予測は、ここにきて反対派が勢いを取り返してきているようなので、小差で独立阻止?でしょうか。

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