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嫌んバカンス

  • 2014-08-05 (Tue) 11:51
  • 総合

 台風襲来の本格的シーズンとなったようだ。一日に何度もヤフーの気象情報にアクセスして、衛星画像上の台風に「念」を送る。弱まれ、進路変更しろと。915ヘクトパスカルまで発達していたのが、今朝見ると950ヘクトパスカルになっていた。形容も「猛烈」みたいなものから単に「強い」という表現に。週末にかけ西日本に最接近もしくは上陸しそうな雲行きだから、その時までには並できれば並以下の台風に弱まっていることを切に願う。
 今朝の読売新聞朝刊解説欄にワシントン支局のS記者のコラム記事が出ていた。「米大統領の夏休み」と題したコラムで、オバマ大統領が今夏も今月9日から16日間、米東海岸の富裕層のバカンス地として知られる保養地、マーサズ・ビンヤード島で夏休みに入ると記していた。連日、好きなゴルフに興じるのだろう。もっとも、大統領という重責ゆえ、避暑地にも「臨時執務室」が設けられ、オバマ大統領にとっては常に国内外の情勢に対する判断を迫られるという気の抜けない夏休みになるという。まあ、それは致し方ないことだろう。
 コラム記事は現代の歴代の大統領が取った休暇の調査結果についても言及していた。それによると、ブッシュ親子の息子の方のブッシュ前大統領が8年間で879日の休暇を取り最多だったとか。一読した時はえっ、そんなに沢山という思いにとらわれたが、8年間の長期だ、普段の週末の休暇を含めるとそのような数字になるのだろう。
 アメリカ文学紀行本を書くため、アメリカ各地を放浪していた2011年夏、旅先で読んだ新聞でオバマ大統領の夏休みの長さについて賛否両論を併記した記事を読んだ記憶がある。批判派は大統領一家が羽を伸ばす避暑地や別荘が庶民には高根の花ということもあり、二週間という長さの夏休みに批判のボルテージが上っていたようだ。
 一般論だが、ヨーロッパの人に比べ、アメリカ人は意外と長期の休みを取らない印象がある。そういえば、日本語になっている「バカンス」(vacances)という言葉はフランス語源であり、英語ではない。
 上記の記事で、やはり説得力があったのは、大統領といえども、いや大統領だからこそきちんと一定の長い休暇を取るべきだという主張だった。どんなに優秀な人でも疲労がたまってくると、理解力、判断力が鈍るものであり、特に夏にはある程度の長い休暇を取ってリフレッシュすべきと説いていた。
 翻って日本人は世界の中でも、長い休暇を取るのを良しとしない最右翼の国民と言えるかと思う。新聞社に勤務していた時代、同僚が働いている時に自分だけ長期の休暇を取るのは、それが社内の規則に沿ったものであっても、何だか気が引ける思いがしたものだ。勤続10年、20年、30年と節目の年にはそれぞれ長期の休暇を取る権利が与えられていたが、満足に取った長期休暇はない。もったいなかったと今となっては思う。
 2020年の東京五輪に向け、日本はこれから「おもてなし」の心で海外からの訪問者を迎えるとか。それには、まず自分たち自身を十分な休暇で「おもてなし」する心構えが必要だろう。そうでないと、「おもてなし」「うらがあり」になってしまう。かくいう私は早期退社以来、ずっと長期休暇のようなものだ。歴代米大統領にこの点ではしっかり優っているかと思う。自慢にはならないが・・・。

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