- 2021-12-27 (Mon) 14:57
- 総合
南アフリカの宗教家、デズモンド・ツツ元大主教が死去したというニュースに接した。マンデラ元大統領とも親しく、マンデラ氏とともに南アの忌むべきアパルトヘイト(人種隔離政策)を打破するのに尽力した人物。私は記者としてツツ氏を直接取材した経験はないが、彼の言動を報じたことは何度もある。ツツ氏の言葉で印象に残っているのは北の隣国、ジンバブエが南アの民主化後に混乱の極みにあった時、ジンバブエのムガベ大統領(当時)のマンデラ氏に対する嫉妬心がムガベ大統領の施政混乱の主因だと喝破したこと。合掌。
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日曜日のオンライン英語教室も無事終わり、今年の予定はすべて終了した。公民館の中国語講座も今週はもちろんなく、ぼけっとした年末が過ごせる。コロナ禍もあり今年も帰省せず。もっともこの歳になると帰省するところもない。高齢の長姉が施設に入って以降は故郷もあってなきがごとしだ。悲しくもあるが、致し方ない。すべて神様の思し召しだろう。
ところで上記のオンライン英語教室。ずっと読んできたカズオ・イシグロの作品 “Klara and the Sun” も大半を読み終え、余すところ2章だけとなった。教える側の私にも大いに勉強になっている教室だ。このブログは備忘録だから、ここで一つ二つ記しておきたい。
少年の母親がかつての恋人に訴える一言。恋人は彼女が息子を入学させたいと切望している大学の幹部職員。諸事情からこの大学は息子が入学を望める唯一無二の大学として描かれている。“Yes, we are asking you for a favor. We know you have it within your gift. …”
受講生がgift という語に戸惑ったと書いてきた。私はすっと読み飛ばしていたが、指摘されると確かに?だ。我々が知っているgiftは「贈り物」「才能」を意味する語だ。その他に「与える権限」という意味がある。これはちょっと難しい。辞書に掲載されている例文を読むと、合点が行くだろう。The office is not in his gift. (その役職を与える権限は彼にはない)。
もう一つ。母親の昔の恋人が少年に向かって言う。彼は母親との関係はともかく利発な少年のことは気に入ったようだ。“I’m wanting to help you. But …” 学校英語で今こうした表現が可能であると教えているかどうか私は知らない。私の世代はlove, like, hope, want といった状態動詞(stative verbs)は現在進行形にはならないと教わった。でも今はこうした表現も時には許されるようだ。「切迫感」が醸し出されるからだろうか。ファーストフードのテレビCMで一頃よく流れていた言葉を思い出す。“I’m lovin’ it.”
“Klara and the Sun”はおそらく年明け1月の2回の教室で読破することになろう。その後はどうするか。受講生2人に過ぎない教室だからそれで打ち切りとなっても構わないが、受講生が続けたいというのであれば喜んで継続したい。それで次に読みたい小説をネットで探し、先日、書店に足を運び買い求めた。私の教室に適した短編集。今、少しずつ読んでいるが、印象に残るものが幾つかあった。この年末年始でもっとはっきりするだろう。
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このブログを年内アップすることはないかと思える。皆様、良いお年を! そして来る2022年がコロナ禍の21年を吹き飛ばすような実りあるいい1年となりますように!