- 2021-01-18 (Mon) 11:37
- 総合
CNNのその記事は読みたくなるような見出しで誘っていた。“Why 1.2 billion people share the same 100 surnames in China”(なぜ中国では12億もの民が100の名字の中に収まるのか)
全世界から移民がやって来て、市民権を得て米国民となるアメリカでは数多くの個性にあふれた名字がある。その数は630万とか。アメリカの視点から見れば、同じ名字の人々が圧倒的に多い中国はかなり異質に見えるのだろう。
CNNの記事は次の書き出しで始まっている。あなたが中国の通りで道行く人に無作為に名前を尋ねると、彼らの名字は次の五つのどれかである可能性が大だ。王(Wang)、李(Li)、张(Zhang)、刘(Liu)、陈(Chen)。これらの五姓だけで実に4億3千3百万人もの人々がいる。中国全人口13億7千万人の30%を占める。中国全土で見ても名字の数はわずか6000個ほどに過ぎなく、人口の大半、86%に上る人々は100個程度の名字で数えられる。
日本にどれだけ多くの名字があるのか知らないが、公民館の中国語講座で使っているテキストには「姓名」の項で「日本は1億余りの人口があり、13万余りの姓があるそうです」と書いてあった。「中国は13億の人口がありますが、よく用いられる姓は130ぐらいで、全人口の87%を占めています」とも紹介されていた。日米中の名字のこの歴然とした差異!
中国で名字の「画一化」が進んでいる背景にはパソコンに代表されるテクノロジーの発展があるのだという。手書きならどんな漢字(簡体字)でも記入できるが、パソコンのソフトにない漢字は冷遇され、捨て去られるからだという。もちろん、先祖代々の名字を誇りに思い、子孫に末永く伝えていきたいと願う人々もいるが、現代のテクノロジーの前には苦戦を強いられているのだとか。
中国の王さんはその数1億人。王さんだけで日本のほぼ全人口に近い。私はこれまで田舎を出てからの人生で同じ名字の人に出会ったことは皆無。これからもおそらくないだろうが、もしそういう出会いがあったら、瞬間、親近感を覚えるのではないかとも思う。王さんはあまりにあり過ぎて、そういう思いに至ることはないのだろうか。そんなことを考えてしまった。
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韓国語の気づきを一つ。すでに何度か書いたことがあるかと思うが、韓国語の母音についいてよく思うことがある。日本語と比較して、英語を含む外国語を身につけやすいようにできているのではないかと。例えば「お」の音は日本語は一つだが、韓国語では口を大きく開ける「お」と口をすぼめて音を出す「お」の二つがある。前者と後者の音を区別するのは私には難しく感じるときがある。耳をそばだてて神経を集中させて区別する。
最近でくわした韓国語の語に「ラブレター」がある。英語のlove letter だ。これを日本語で「ロブレトー」と表記し、そう発音するとかなりの違和感が生じるだろう。韓国語ではこの語を「러브레터」とハングルで書き、カタカナ表記すると「ロブレト-」。love letter を「ロブレトー」と発声できること自体が私には興味深く思えるし、「お」という二つの音を自由に操ることができる人たちが羨ましく思えるのだ。
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