- 2020-12-24 (Thu) 11:52
- 総合
アフリカの特派員時代からずっと使ってきていたカセットテープレコーダーが遂に動かなくなったと前項で書いた。ひょっとしてまだ修理可能ではと一縷の望みを抱いてメーカーのお客様相談センターに電話してみた。優良製品を世に出しているのだからメーカー名を書いてもいいだろう。ソニー社製だ。
結論から書くと私が愛用してきた製品はもう今は製造しておらず、修理は不可能とのこと。私のテープレコーダーは1998年に製造開始ということを知った。ということは発売開始直後に購入したとしても20年ちょっとの使用期間となる。それでも十分もったと高評価に値するだろう。今ではソニーも小型のカセットテープレコーダーは発売しておらず、メモリーカードレコーダーが主力とか。次に買うとすればそれか。
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ネットで目にした海外のニュースで最近目にとまったのはだいぶ以前に読んだ記憶が残っている日本社会の話題が実は「フェイク」だったと指摘した記事だった。アメリカのThe New Republicという雑誌の記事の見出しは How The New Yorker Fell Into the “Weird Japan” Trap となっていた。あの高級なニューヨーカー誌が「奇妙な日本」の罠にかかり、真実とは言い難い話題を報じていたというものだ。
実は私はこの記事を以前(2018年?)にネットで読んだ時に、眉唾ものではないかと感じていた。記事は日本でいわゆるレンタルファミリー業(rent-a-family industry)というサービス業があり、例えば子供に父親が欲しいと願うシングルマザーに一定時間、父親を提供するとか、家族が欲しいと欲する高齢の独身男性に妻や娘を提供する、いわば「家族ごっこ」の場が持てるサービスが存在するというものだった。日本では一人で暮らす独身男性やシングルマザーが多いことを背景にこうしたレンタル業が成立していると報じていた。
私はこの記事を読んだ時、家族をレンタルしてまで「孤独」を癒やしてもらいたいと思う人々はあまりいないのではないか、それが「商売」として認知されているとの扱いは誤報と大差ないのではないかといぶかしく思った。ただ、それ以上の興味は覚えず、ほぼ忘れかけていた。ところが、The New Republicはニューヨーカー誌に登場する三人の中心人物は実名を偽り、成りすましだったことを指摘した。いわゆる「やらせ」だったという次第だ。ニューヨーカー誌は事実でない記述があったことは認めたが、記事の取り消しまではせず、こうしたレンタルファミリー業が日本には存在するとの認識を示している。何とも不可解極まりなく、ニューヨーカー誌の報道倫理に不信の念を抱かざるを得ない。
CNNやBBCでもそうだが、私が日本にまつわる話題を読む時に気になるのは、欧米とは異質の日本ではこんなこと、あんなことがあるんですよ、といった「風変わりな国、ジャパン」を紹介しようとする意図が時として垣間見えることだ。風変わりなことは日本に限らず、どの国、地域にもあることであり、受けを狙っただけの興味本位の報道は自らを貶めるだけだろう。どこかの国の大統領の手垢のついた常套句を使えば、“fake news” と断じざるを得ない。もっともあの大統領が自ら放っている “fake news” に比べれば「罪の度合い」は遙かに微々たるものであろうが・・・。
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