- 2012-08-22 (Wed) 08:36
- 総合
駆け足でフェスティバルの催し会場を歩いた。目当てはフリンジと呼ばれる周辺部で行われる演劇、コメディーだ。当たり外れは当然あるが、思わぬハイレベルのパフォーマンスに出くわすこともある。
エディンバラ中心部のロイヤルマイル(Royal Mile)と呼ばれる通りは多くの観光客で賑わっていた。このシーズンが観光業に関係する地元の人々には一番の稼ぎ時になっていることがうかがえる。石畳のこの通りはフリンジで公演するグループのPRの場となっているほか、大道芸人がそこかしこでパフォーマンスを披露して拍手喝采を浴びていた。
周辺に点在するフリンジ会場に飛び込む。フリンジの公演はだいたい1時間程度で、入場料は8ポンド(約1100円)前後のようだった。
最初に入ったのは見ごたえのあるシリアスな劇だった。ここまでは良かった。続いてみたのは女性二人のコメディーで少し下品。二人のやり取りがあまり理解できなかったこともあり、費やした時間がもったいないと感じた。夜にもう一つのぞいたのは、通りで「客引き」をしていた女性が「私たちはポルトガルから来ています。ロメオとジュリエットの劇です。絶対に後悔しません。請け合います」と熱心に説く。本当は別に見たい劇があったのだが、彼女の熱心さにほだされ、中に入った。
ロメオとジュリエットに扮した男女二人がダンスを中心にシェイクスピアの悲劇を紡いでいく。いや、正直言って、退屈した。意図は何となく分かるのだが、どうもついていけない。これは失敗したなあと思っていたら、ジュリエットが客席に降りてきて、私の両手を引っ張り始めた。え、何これ?って思わず、手を引くと、“Don’t be afraid.” とのたまう。どうやら、舞台で男性の客と一緒に踊るシーンが盛り込まれているようだ。なんでその役回りが僕なの?って感じで舞台に上がる羽目になった。彼女と踊ったというか、振り回されること数分間。まあ、客もたいしていなかったのでどうということはないのだが、それでも面食らったことは事実だ。出来のいい公演に「参画」できるのなら喜んでそうするが、これはどう見ても「駄作」。他のお客の表情から察しても、私と同様の感想だったかと思う。
翌日。フリンジ公演のパンフレットを見ていたら、“Tokyo Trilogy” と題した劇が紹介してある。村上春樹氏の短編をアレンジした劇で、「伝統と現代の狭間にある東京の姿を表現」と述べてある。二十歳前後の若者6人の公演で、個々のエピソードで面白いものはあったが、彼らが全体として訴えたいことが私には理解できなかった。第一、「東京」が見えなかった。「消化不良」の思いで出口に向かっていたら、私より少し年上の感じの男性客が「いや、トーキョーって感じではなかったですね」と話しかけてきた。本当ですねと応じると、「台詞の中にギンザセンという地下鉄の名前が出てきたことぐらいでしょうか。いや、あれならタイトルを変えた方がいい」と彼は語っていた。残念ながら、私のエディンバラフェスティバル再訪は「外れ」の方が多かったようだ。
(写真は上から、エディンバラの中心部、ロイヤルマイルの光景。通りの先にはエディンバラ城がそびえており、そこからエディンバラの美しい景観が楽しめる)
Comments:1
- Taka Asai 2012-08-22 (Wed) 10:10
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省一さん、fringeの歓迎アーチにVirgin Atlanticのロゴマークらしきものがありましたので、同航空もイベントのスポンサーかなと思いましたが、同名の銀行なんですね。それにしてもロイヤルマイルの賑わい、オリンピックスタジアム周辺の雑踏をほうふつとさせます。店先での食事風景、太陽の傾きから推測して午後5時過ぎ?ですか。落ち着いた街並みですね。