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ノッティンガムに

  • 2012-07-30 (Mon) 04:32
  • 総合

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 オリンピックの「喧騒」をよそに、ハートフォードシャーから再び北上した。列車で1時間40分の旅。ノッティンガム(Nottingham)にいる。イングランド中北部に位置するが、地元の人々の説明ではイースト・ミッドランド(East Midland)の都市となる。
 街の中をトラム(tram)と呼ばれる路面電車が走っている。初めての都市や町ではとにかく街を歩いてみるしかない。私は方向感覚が途方もなく悪いので難儀するのだが、それでも歩いているうちに何となく「土地勘」みたいなものが生じてくる。
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 ノッティンガムの中心部は私が投宿したB&Bからなだらかに下っている。バスも通っているが、歩いて行けない距離ではない。街のど真ん中辺りで子供たちの歓声が聞こえてきた。眺めると「浜辺」がある。「ああ、これがB&Bのご主人が言っていたビーチだな」とすぐに合点が行った。広場の一角に砂を入れ、浜辺が人工的に作られている。子供たちには楽しい夏の思い出となるのだろう。なんでも、数年前から始まったイベントで、7月下旬から約1か月間設けられる「浜辺」とか。
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 すぐ近くで人だかりがしたので近づいて見ると、“Gay Pride” というプラカードが見える。ゲイ(同性愛)の人たちだ。平和的なデモ行進のようだ。地元テレビ局のクルーの人たちが色々注文を付けて撮影していた。保守的な英国でもゲイの人々の権利が段々認められるようになっており、英国国教会でもゲイの司祭が新聞紙上で持論を展開している。
 ノッティンガムに来たのは、ここにゆかりの深い作家がいるからだ。『チャタレー夫人の恋人』の作者で知られるDHローレンス。私ははるか昔の学生時代に興奮しながら読んだような記憶がある。作家の故郷ぐらいは見てみたいと思っていた。
 B&Bのご主人と話していたら、「ロビンフッド」(Robin Hood)もノッティンガムですよ、みたいなことを言う。ああ、そんな物語もあったなと思い出した。ノッティンガム・キャッスルという博物館に行けば、ロビンフッドの展示もあるという。これも、十分、歩いて行ける距離だ。散歩がてらに出かけた。
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 ロビンフッドは実在したのか? 学者の間でもさまざまな見解があり、まだ、論争を呼んでいることを知った。当局からは疎まれたロビンフッドが貧しい人々に金品を与え、「義賊的存在」だったことから、今に至るまでロマンをかきたてる人物であるようだ。14世紀の書物に書かれたロビンフッドにまつわる文章が展示されていたが、私は逆立ちしても理解できない。オリンピックだからというわけではないが、これでも高校時代は器械体操部に属していて、逆立ち(倒立)は得意だった。参考までにその文章を以下に記してみる。
 “If I shulde deye bi this day me liste noughte to loke
  I can nought perfily my paternoster as the prest it syngeth
  but I can rymes of Robyn hood and randolph erle of chestre
  ac neither of owre lorde ne of owre lady
  the leste that Evere was made” (現代英語訳は続きで)
 (写真は上から、ノッティンガムの中心部。人工のビーチ。デモ行進を前にたたずむゲイの人々。ノッティンガム・キャッスル博物館にあるロビンフッドの像)

 “It does not please me at all to contemplate that if I should die today
  I am not able to repeat the Lord’s Prayer as the priest recites it
  But I do know every single smallest rhyme composed about
  Robin Hood and Randolph, Earl of Chester
  Yet nothing about neither Our Lord nor Our Lady”

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