- 2012-05-17 (Thu) 02:42
- 総合
毎朝起きて、近所の雑貨店のようなお店に行き、朝刊各紙を買い求める。「悲しいさが」か、朝起きると何であれ新聞を目にしたい。英国では今やブロードシートではなくて、タブロイド判の新聞が目立つ。タイムズもインディペンデントもタブロイド判になっている。バスや電車の中で読むときにはこちらの方が読みやすい。(現存する新聞では世界最古の歴史のタイムズは日本語表記の上では確かザ・タイムズとザを付けるべきだったか)
こちらに来て、旧知のイギリス人女性に、今の英国でどの新聞がベストの新聞だろうかと尋ねたら、即座に「ガーディアン」という答えが返ってきた。彼女は保守的思考をする人ではないので、そうだろうなとは思っていたが。(参考までにガーディアンとインディペンデントはともに1.20£[168円]、ザ・タイムズは1ポンド)
久しぶりに朝刊各紙を見て思ったのは、いや、こうした新聞をつぶさに読んでいたら、日が暮れてしまうという思いだ。新聞社のロンドン支局勤務時代にしてそうだった。毎朝朝刊各紙に目を通し、日本に転電して然るべきニュースがあれば、適宜翻訳して送稿する。送稿後に個人的に興味を覚えた記事をゆっくり読むのだが、ネイティブでない身には相当骨が折れた。英紙は米紙のニューヨークタイムズほどではないにしても、日本の記事に比べれば、総じて長い。できるだけ沢山の情報が詰め込まれている印象だ。
本日水曜日の紙面を見ると、廃刊に追い込まれたタブロイド紙の盗聴疑惑事件の裁判のニュースが大きく報じられていた。そのタブロイド紙で敏腕を振るっていた女性元編集長らが司法妨害の罪で起訴されたからだ。女性元編集長は「起訴は大間違い。税金の無駄遣い」と怒り心頭だった。ギリシャの政局の混乱、それを受けて、就任したばかりのフランスのオランド新大統領がドイツのメルケル首相と欧州連合の危機打開に向け、初めて会談したことも大きく報じられていた。
私がここで勤務していた時に欧州連合の足並みを乱す最大の懸念はボスニア紛争だった。民主主義と人権を掲げる欧州連合の足元で、ボスニアのムスリム人がかつての同胞のセルビア人から「民族浄化」の名のもとに虐殺されていた。寝起きに聞いたBBCラジオでは、民族浄化を陣頭指揮していた悪名高いムラジッチ元司令官がオランダ・ハーグの国連旧ユーゴ国際法廷にこの日出廷するという。こちらはいい意味での「諸行無常」だ。
活字メディアに関してもう一点。地下鉄の駅などでいわゆるフリーペーパーが配られているが、これも読んでみると、一般の有料紙とそう遜色ないほど読み応えがある。私がロンドン支局勤務に勤務していた90年代はフリーペーパーが出始めたころだったかと思うが、読んだ記憶は残っていない。
有料紙の記者に折をみて話を聞きたいと思っているが、ネット社会の発展を合わせ考えると、既存の活字メディアが生き抜いていくのは日本のみならずここでも大変だろうと推察された。
(写真は上から、ガーディアンやインディペンデントなどの英各紙。バスや地下鉄などの座席に捨て置かれていることの多いフリーペーパー。大衆紙のサンの売りとも言える、3頁目にある若い女性のピンナップ写真も「健在」だ)
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Comments:2
- たかす 2012-05-17 (Thu) 04:24
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そんなにたくさんの新聞に目を通すんですか。テレビ視聴ライセンスは月額5ポンド。パソコンでテレビを見ながら缶ビールはどうですか(笑)
- nasu 2012-05-17 (Thu) 18:10
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先生 これはまだ一部です。特ダネはサデー・タイムズとかいった分厚い日曜紙が報じるケースが多かったと記憶しています。先に書きましたが、たしか朝7時から始まるBBCラジオ4の「Today」というニュース放送を聞いていれば、国内外で何が起きているか「一目瞭然」、いや「一耳瞭然」。これは今もそう。BBCは素晴らしい。国の予算削減によるリストラで、内情は大変のようですが。