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大聖堂の日本語ガイド

  • 2012-06-18 (Mon) 07:54
  • 総合

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 巡礼者や観光客で大賑わいのカンタベリー大聖堂。ここに今年初めから日本語で案内してくれる大聖堂認定のボランティアのガイドがいると小耳にはさんで、大聖堂を訪ねた。英国人と結婚して、滞英40年になるジュンコさん。日本出身のガイドは彼女が初めて。
 現れたジュンコさんは両肩からパリアム(pallium)と呼ばれるオレンジ色の肩掛けをしていた。真ん中に大聖堂の認定ガイドであることを示すバッジが見える。「この装いがガイドである証なんです」と説明してくれた。ジュンコさんは「私はクリスチャンでもありません。ただ、せっかく3年前からカンタベリーに住むことになったので、とてもここが気に入ってますし、少しでもお役に立てないかと思ってガイドの公募に応募してみたのです。ここの歴史もよく分からなかったので、猛勉強しましたよ」と笑いながら振り返った。
 ジュンコさんの案内で大聖堂の中をゆっくり歩いた。かつては巡礼者が自由に集える場だった「身廊」からスタート。頭上高くゴシック様式の柱がそびえ、見上げると圧倒されそうな感じだ。「身廊」から礼拝が行われる「クワイヤ」(聖歌隊席)に進む。「クワイヤ」には私は先日、「夕べの祈り」で足を運んでいる。
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 前から一度は訪れたいと思っていた場所があった。1170年に起きた大司教トマス・ベケットの惨殺事件の現場だ。「剣先の祭壇」とも呼ばれている。ここで聖トマスはイングランド国王ヘンリー2世の意を受けた4人の騎士により惨殺された。厳粛な気分で、死後列聖された聖トマスの遺体が1170年から1220年まで埋葬されていたクリプト(地下聖堂)に。写真撮影禁止。私語も遠慮しなくてはならないとか。「このクリプトで数々の奇跡が起きたと言われています。それで多くの人が貢物を持ってここに来ているのです。あそこの高いところに二つの窓が見えるでしょ。あそこから修道士たちがそうした貢物が盗まれないように見張っていたそうですよ」とジュンコさんは説明する。
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 チャプターハウス(参事会会議場)は修道士がベネディクト修道会の会規を学んだ場。上部の窓枠にはめられた42枚のステンドグラスに、歴代の国王や大司教の人生の象徴的場面が物語のように描かれており、ジュンコさんが語るさまざまなエピソードが興味深かった。
 ジュンコさんが英国に初めて足を踏み入れたのは1972年のこと。関心のある宝石と好きな英文学の勉強をすることが目的だった。縁あって英国人男性と結婚して一児の母親となる。「英国内でいろいろ移り住みましたが、カンタベリーが一番気に入っています」
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 「私がガイドに認定されたのは、日本人観光客を念頭においているのでしょう。ただ、まだ、私は日本人客を案内したことは少ないんですよ。カンタベリーは日本人観光客の数はロンドンに次いで多いのですが、大聖堂をゆっくり見たいという方は少ないようです」
 ジュンコさんのガイドは約1時間15分程度。大聖堂への入場料金9.50ポンドのほかにさらに5ポンドが必要。漫然とした散策では知ることのできない大聖堂の「秘話」に触れることのできるひとときであることは請け合える。
 (写真は上から、大聖堂ガイドのジュンコさん。「剣先の祭壇」。チャプターハウスの片方の窓のステンドグラス。大聖堂の庭で見かけた猫。時々死んだふりをするとか)

Comments:2

たかす 2012-06-18 (Mon) 14:28

ジュンコさんに5ポンドが案内料として渡るとしても、1ポンドが130円にならない今、1時間余のつきあいに650円ほどですか。ジュンコさんがイギリスに行ったのは1972年でしたね。71年9月から72年8月の終わりまで私はイギリスにいました。うっかり10ポンド紙幣を買い物の支払いに出そうものなら、受け取る人はその10ポンド紙幣が偽札ではないかと透かしを調べたものでした。71年の8月末に円は固定相場の1ポンド1008円からフロートしました。その頃、ロンドンのLyons(まだありますか?)で昼飯が50pぐらい、ケントの大学の食堂では学生の昼食代は宮崎大学の学生食堂の昼定食に相当する350円見当でした。ジュンコさんもたいへんですね。

那須 2012-06-18 (Mon) 17:17

先生 ジュンコさんはボランティアですので、報酬は一切ありません。案内料金は大聖堂の維持管理費になるのでしょう。彼女は72年に渡航した折は1£が750円ぐらいだったかしらと語っていました。そうですか。71年8月までは1£1008円だったのですね。今、ロンドンのパブや食堂で安いランチ探しても、お茶代入れると5£前後はするかと思います。50Pはないですね。隔世の感ありですね。

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