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ジェフリー・チョーサー (Geoffrey Chaucer) ①

  • 2012-06-13 (Wed) 07:41
  • 総合

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 ロンドンのビクトリア駅から列車に乗って一路東、ケント州のカンタベリーに向かう。“The Canterbury Tales”(邦訳『カンタベリー物語』)の舞台だ。チョーサーが14世紀にこの紀行本を書いた時にはロンドンからどれだけの日時がカンタベリー巡礼に必要だったのか知らないが、今は列車で約1時間半もあれば目的地に到着する。
 私は大学で英語科専攻だったため、1年生の時に、英文学の講義でこの本に遭遇した。正直に言うと、完全にお手上げだった。メルビルの『白鯨』は少しは「抵抗」することができたが、これはほぼ最初から「戦意喪失」。よく覚えていないが、とにかく英語が難しくて、二三回講義に出ただけで後は出席を忌避した。物語自体もそう面白いとは思わなかった。イソップ物語の「酸っぱい葡萄」のようなものだ。
 再チャレンジしたのは7、8年前のことだ。書店の原書コーナーでふと目にして、今なら読めるかなと手にしてみた。古い英語なので至る所で意味がよく分からない表現が出てきたが、実に面白い。あれ、こんなに面白い作品をどうして毛嫌いしたのだろうと不思議に思うとともに残念でならなかった。おそらく、私の学生時代にはチョーサーが実際に書いた英語に限りなく近い古文の英文の本を読まされたのではないかと推察される。
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 私が後年手にしたのは、私の卒業後の1985年に詩人のデイビッド・ライト氏の翻訳で刊行されている本だ。裏表紙には “David Wright has translated the Tales with crisp brilliance and fidelity into classic verse…”(デイビッド・ライトが新鮮な流麗さと正確さで最高級の詩歌に翻訳・・・)と紹介されている。確かにこの翻訳本に出合わなければ、私は “The Canterbury Tales” の面白さを味わうことは一生なかっただろう。
 さて、カンタベリーに到着。ここは小さい町だから、予約していたB&Bに歩いて行けるのも嬉しい。だがカンタベリーも雨で、しかも寒い。(夕食を食べたレストランは暖炉で火が燃やされ、主人は6月になって火を燃やすのは珍しいと語っていた)。とりあえず、観光名所の “The Canterbury Tales” に足を運ぶ。物語のハイライトが映像や録音などで楽しめる場所だ。入場料8.25ポンド(約1100円)で、時間にして約35分。受付で英語(日本語もある)の案内テープが流れる受話器を受け取る。たまたま居合わせた英バーミンガムから来た中年の女性二人連れと一緒にさせられ、物語の「巡礼」を追体験した。
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 この後、近くのカンタベリー大聖堂に向かう。ここも入場料がいる。9.50ポンド。午後4時過ぎだったため、わずか1時間少ししか時間が残されていない見学にこれだけの入場料を支払う気にもなれない。宿の女主人が、午後5時半からは “Evensong” と呼ばれる「夕べの祈り」があり、これは誰でも無料で大聖堂の中に入れると言っていたことを思い出す。後刻足を運ぶと本当にすっと入れた。30分ぐらいの祈りだったが、私のような不心得者でも「来て良かった」というひと時を過ごすことができた。
 (写真は上から、カンタベリーも予想以上に観光客で賑わっていた。フランスに近いこともあり、フランス語が飛び交っていた。大聖堂の外観。「夕べの祈り」が終わり、礼拝堂から引き上げる観光客の人々。祈りの最中は写真撮影禁止)

Comments:3

たかす 2012-06-13 (Wed) 09:15

Victoria Stationから行ったんですか。East Canterburyに着きますね。カンタベリーからロンドンに戻ることがあればWest Canterbury から乗ってみてください。Charing Crossに着きます。大聖堂の写真を撮ったところに門があって、Gate Hotelがあります。私はここにかなりの日数滞在しました。このホテルがのっている絵はがきもありましょう。West Gate をバスがくぐり抜けていましたが今はどうでしょう。ゆっくりとカンタベリーをお楽しみ下さい。

さるく亭の客 (KF) 2012-06-13 (Wed) 10:32

3月に訪問した際は、St. Pancrasから特急列車(?)のようなものに乗り、かなり速く到着しましたよ。ただ、あまり本数はなかったかも知れません。Evensongにも足を運びましたが、その日に限りBBCの放送用録画が行われていて、いつになく簡単な evensong でした。Choir のボーイソプラノを楽しみにしていたんですが…。

nasu 2012-06-13 (Wed) 17:09

先生 はいEast Canterburyに着きました。切符はとても割安の往復で買っているので、帰りもそうなります。はい、いいとこそうなので楽しみます。

さるく亭客の藤の花様 ボーイソプラノは透き通った歌声がとても素敵でした。あれだけでも毎夕足を運ぶ価値がありそうですね。

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