- 2012-09-28 (Fri) 06:26
- 総合
イングランドを旅していて、アメリカほどには肥満の著しい人はそうは見かけないような気がする。気がするだけの話かもしれない。いや、それでもやはり、日本に比べれば男女ともに太っている人を格段に目にする。プチ肥満気味の私がここでは涼しい気分で暮らすことができる。今回の旅でジーンズのベルトが「一穴」ずれたとしても、そう気にはならないことが何よりの証拠だ。
地元の新聞紙上でも時に英国人の肥満傾向に警告を促す記事を目にしている。
7月下旬には「ザ・タイムズ」紙で、 “How on earth did we become so lazy?” (一体なぜ我々はかくも怠惰になってしまったのか?)と題する特集記事が掲載されていた。The British are couch potatoes who rarely exercise and are among the world’s most unfit people.(英国人はカウチポテトであり、ほとんど運動することもなく、今や世界で最も不健康な国民である)と嘆いていた。「カウチポテト」とは「ポテトチップを食べながら長時間座ってあるいは横になってテレビを見ている人」のことだ。
特集記事はさまざまな統計の数字を紹介しながら、英国人が今やアメリカ人を凌ぎ、世界に冠たる「怠惰な国民」になっていることを憂えていた。ある研究機関の調査では、速足で歩くなどの軽微な運動を一日少なくとも30分、一週間にして5日間行っているかどうかで、その国の国民のいわば「怠惰指数」を割り出している。指数が低いほど、普段から体を動かすことを意識している健康志向の国民が多いことを示す。
この「怠惰指数」が低い国はギリシア(16%)、オランダ(18%)、カナダ(34%)などの国々で、アメリカでさえ41%の数字に留まっていた。英国はイタリア(55%)やトルコ(56%)を上回る実に63%の高率を記録。
英国の主婦に関して言えば、便利な電化製品の普及でかつては忙しかった日々の清掃、台所仕事などが楽になったお蔭で、例えば1950年代にウエストサイズが28インチ(約70センチ)だった中年の女性ウエストのサイズは今や34インチ(約85センチ)に膨らんだとも述べている。記事はテレビを見る時間を減らすこと、電話を取る時には立って電話を取るようにすること、散歩など普段から体を動かす生活習慣を心がけることなどを訴えていた。
この国のご婦人たちがスタイルを気にしていないかと言えば、もちろんそんなことはなく、スーパーやコンビニの雑誌売り場にはファッションやスタイルなどとともに、ダイエットの成功例、健康な食生活を紹介した雑誌であふれ返っている。そうした雑誌の一つは「肥満は乳がんや腸がん、子宮がんのもと」と警告する記事を掲載していた。その記事では例えば腸がんに関して「英国では年間1万7000人が肥満ゆえの腸がんに罹患している」という報告例も紹介していた。他人事ではない。帰国後は再び納豆、豆腐、味噌汁という本来の食生活に戻ろう。
(写真は上が、ザ・タイムズ紙の特集記事。下が、スーパーに並ぶファッションやスタイル、食生活の雑誌)
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Comments:1
- Taka Asai 2012-09-28 (Fri) 14:29
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省一さん、ニューヨーク市が最近、肥満防止のため、店頭販売するソフトドリンクの容器のサイズを条例で規制しましたが、肥満大国のアメリカ以上にイギリスがレイジーな国とは初めて知りました。ダイアットに関して言えば、生活習慣病向けのサプリメントの多さなどは日本も同様ですね。早速、きょうの記事を参考に、この日曜に開くクラブの例会で、Couch potatoes who rarely excercise should be punished を論題に、ディベートをやってみます。情報ありがとうございます。