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アラン島

  • 2012-09-02 (Sun) 08:18
  • 総合

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 ゴールウェイに到着した翌日の土曜日、楽しみにしていたところを目指した。沖合に浮かぶアラン島(Aran Islands)という名の島だ。正確には三つの島から成り、私が訪ねたのは最も大きいイニシュモア島。といっても、自転車で一周できるような小さな島だ。
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 私は写真でよく見た大西洋に面した切り立った断崖絶壁が見たかった。アイルランドは19世紀のポテト飢饉などでアメリカに多くの移民を送り出した国。アラン島の絶壁に立てば、そうした厳しい歴史の一端が垣間見えはしないかと思っていた。
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 フェリーに揺られること約50分、下船した後、さて、どうしたものかと思案。帰りのフェリーは午後4時出港。4時間半ほどの時間がたっぷりある。レンタル自転車店があったので、そこで10ユーロ払って借りる。自転車に乗るのは昨年秋、ヘミングウェイゆかりの地で訪ねたフロリダ州キーウエスト以来だ。そんなことを思い出しながら、絶壁に向かう。ゴールウェイを出た時は曇り空だったが、気持ちのいい天気になった。口笛の一つも吹きたくなるような心境だ。途中、アザラシが憩う岸辺があり、そこでアメリカ人の観光客としばし歓談。丁度いい機会だ。お互いの姿を交互にデジカメで撮影し合う。
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 1時間ほどゆっくり自転車をこいでようやく断崖絶壁の地にたどり着いた。「ダン・アンガス」(アンガスの砦)と呼ばれる古い遺跡であることを知った。高所恐怖症の私はとても断崖のふちまで進めなかったが、強風にあおられながら、へっぴり腰で何とか数枚撮影した。来て良かった! 
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 前日の夜、B&Bの宿にあったアイルランドの観光本のアラン島の欄を読んでいたら、イニシュモア島の住民は900人程度、多い時には1日に2千人の観光客が島を訪れると記されていた。アラン島では土地がやせているので、石灰岩を砕いた土に海藻や家畜の糞をまぜ、長年の歳月をかけて土壌をこしらえてきたとも。その大切な土が強風で飛ばされないようにしているのが、大小さまざまな石を積み上げて作った石垣だ。長々と連なる石垣に守られた区画の中では雑草や草花が茂り、牛馬がのんびり草を食んでいた。
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 アラン島は手縫いのアランセーターも有名。断崖の入り口にセーターを売っている店があり、そこをのぞいたら、店主の婦人が手縫いをしていた。私の顔を見て、「コンニチハ」と日本語で言う。私がよく日本人だと分かりましたね。ぴんときたよ。日本人客は多いからね。そうですか。今日は私の他にはあまりいないようですよ。今日はね。いやあ、のんびりしていていいですね。私は日本の田舎育ちだから、こういうところは大好きなんですよ。あら、そうかい。でも、あたいら、食っていかなくちゃならないからね。こうやってセーター編んでお客に買ってもらって始めて食っていけるんだよ・・・。おおよそこんな会話が続いた。
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 申し訳ないので、秋の深まりに備え、頭からかぶる鉢巻のような耳当てを8ユーロで購入。あのお、お願いがあるんですが。編んでいるところを撮らせてもらえませんか? あら、やだ。今日は地味な服装だし。とかなんとか言いながら、何枚も撮らせてくれた。アラン島は人柄もいい。
 (写真は上から、観光客で賑わうゴールウェイの中心街。波しぶきをあげ、アラン島へ。こんな感じの石垣が連なる。牛もいれば、馬も。頭をなでてもらいたいのか、石垣から頭を突き出して動かない馬。馬の気持ちが分かれば、馬券も当たるのだが。自転車に乗れば気持ちも若返る。「ダン・アンガス」の断崖絶壁。そこで記念撮影する観光客。セーター店の婦人)

Comments:1

Taka Asai 2012-09-03 (Mon) 08:03

省一さん、ゴールウェイの街角の写真を見る限り、そちらはすでに秋を通り越して冬衣装なのに驚きました。アラン島のスナップにも自然の厳しさを感じます。以前からリクエストしていた筆者のお元気そうな姿を拝見できて安心しました。砂利道のサイクリング、貫録?のmustache、英文学をひもとく一人旅がますます面白くなってきました 。

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