- 2012-09-01 (Sat) 05:32
- 総合
ベルファストを離れて南下、アイルランドの首都ダブリンを訪れている。ロンドン勤務時代、ここも幾度か足を運んだ地だ。なぜか、性にあっているように感じていた。
ダブリンを訪問した時の思い出で印象に残っていること。橋の上からリフィー川の流れや街並みを眺めていて、妙に寂しい都市だなと思ったこと。知り合った地元の人とイングランド人の堅苦しさを遡上に盛り上がったこと。夜中のパブでギネスとアイリッシュミュージックを気分良く楽しんでいたら、常連と思われる地元の酔客の一人がイングランド人の観光客の若者に理不尽に絡み始めたこと。
最後にダブリンを訪れたのがいつだったか覚えていない。当時のメアリー・ロビンソン大統領が訪日されるのを前に単独会見ができることになり、ダブリンの大統領府でインタビューした記憶がある。今、パソコンで検索するとどうも1995年のようだ。情けないことにどういう話を聞いたのか、どういう記事を書いたのか、全く記憶にない。
久しぶりに再訪したダブリンも記憶に重なる部分が少ない。トラム(路面電車)が走っているのには驚いた。1990年代にはなかったと思う。市内の中心部、オコンネル通りに「スパイア」(Spire)と呼ばれる尖塔が建てられていたのにも目を見張った。2002年の建設で高さ約121メートルのステンレス鋼鉄製とか。
さて、ここではアイルランドを代表する作家、英語で書かれた文学の巨匠の一人、ジェイムズ・ジョイスの足跡を追いたいと思っている。波乱に富んだ一生を送ったダブリン生まれの個性的な作家、オスカー・ワイルドについても少し書くつもりだ。
と思っていたら、投宿したB&Bの受付の人が「週末は一杯だから、他所を探してくださいね。それにこの週末は宿代が跳ね上がりますよ」とのたまう。ロンドンでも金土の週末に宿代が少し高くなるのは普通だが、レートを聞いて驚いた。アイルランドはユーロ圏の国だからユーロ決済だが、水曜にチェックインした時は一泊40ユーロ(約3900円)だったこのB&Bは金土は3倍の120ユーロだという。冗談は良子さん(私の亡き母親)! それでなくとも、私の部屋はトイレ臭がどこからか漂ってきて、居心地がすこぶる悪い。
この週末、ダブリンの宿泊レートが跳ね上がっているのは、アメリカの大学チームがやってきて、土曜日にアメリカンフットボールの試合が催されるためだと聞いた。新聞やテレビではこのゲームのためだけで、アメリカから3万5千人の観光客がダブリンを訪れていると盛んに報じていた。景気の悪いアイルランド経済にはありがたい話ではある。
そういう事情で金土は到着したばかりのダブリンから逃げ出すことにした。特段行くあてもない。いや、あった。以前からアイルランドの西岸はとても美しいところだと聞いていた。この国を訪れる機会など私にはもう二度とないだろう。だったら、西に行ってみよう。という次第でゴールウェイ(Galway)まで足を延ばすことにした。B&Bから徒歩で行ける距離のバスセンターに行き、ゴールウェイまでの往復チケットを買い求める。19ユーロとリーズナブルな値段。約3時間半の旅程だという。
(写真は上から、ダブリンの繁華街。スパイアを望む。その基幹部分。トラム)
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