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ジョージ・オーウェル(George Orwell)①

  • 2012-08-15 (Wed) 05:18
  • 総合

 オーウェルと言えば、ビッグブラザーの「監視」が不気味なやはりあの名作 “1984” (邦訳『1984年』)だろうか。過去に映画化もされており、この旅でもどこかの宿でテレビで放映されているのを目にした。今回は作家のもう一つの傑作、“Animal Farm” (邦訳『動物農場』)を取り上げたい。
 イングランドを舞台に、飼育されていたブタや馬、羊、ロバなどの動物が決起、農場主たちを追い払い、動物が農場を支配するという奇想天外の物語だ。英語も平易で分かりやすい。冒頭から面白い。「メジャー」という名の年老いたブタが「マナーファーム」(Manor Farm)と呼ばれる農場で飼育されている仲間の動物を全員集めて講話を垂れる。
 “Now, comrades, what is the nature of this life of ours? Let us face it: our lives are miserable, laborious, and short. We are born, we are given just so much food as will keep the breath in our bodies, and those of us who are capable of it are forced to work to the last atom of our strength; and the very instant that our usefulness has come to an end we are slaughtered with hideous cruelty. No animal in England knows the meaning of happiness or leisure after he is a year old. No animal in England is free. The life of an animal is misery and slavery: that is the plain truth.”(「さて、同士諸君、我々の一生は何と表現すればいいのだろう? 端的に言おう。我々の一生は惨めでつらく、そしてはかない。我々は生まれてこのかた、生きながらえるだけの食糧しか与えられず、労働が可能な者は体力が枯れ尽きるまで働くことを余儀なくされる。使い道がなくなったら即座にぞっとするような残酷さで屠殺される。イングランドで生後1年経過して幸せとか余暇の意味が理解できる動物など存在しない。この国では自由な身の動物など存在しないのだ。いかなる動物であれ、その一生は悲惨であり、奴隷に過ぎない。これが明白な真実だ」)
 読み進めていくと、animalismという言葉が出てくる。普段はあまり目にしない言葉だ。辞書を引くと、複数の意味があるようだが、その中の一つに「動物解放主義」という訳がある。humanism(ヒューマニズム)という言葉を思い浮かべてしまう。
 メジャーは自分の死期が近いことを悟っており、その前に仲間にメッセージを残そうしてこの講話を垂れた。講話は続く。“Is it not crystal clear, comrades, that all the evils of this life of ours spring from the tyranny of human beings? Only get rid of Man, and the produce of our labour would be our own. Almost overnight we could become rich and free. What then must we do? Why, work night and day, body and soul, for the overthrow of the human race! That is my message to you, comrades: Rebellion! ...”(「同士諸君、我々の一生のすべての害悪は人間の独裁からもたらされていることは全くもって明白ではないか? 人間をやっつけてしまいさえすればいいのだ。そうなれば、我々の労働の実りは我々自身のものとなる。ほぼ一夜にして我々は富み、自由になるのだ。そのためには何をなすべきか? それには、昼夜を問わず、全身全霊で人間どもをやっつけるのだ! 同士諸君、これが私の君たちへのメッセージだ。反乱だ!」)

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