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西ヨークシャー・ハワースに

  • 2012-08-04 (Sat) 07:07
  • 総合

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 ノッティンガムを出て、北にある西ヨークシャーのハワース(Haworth)という村に来ている。村といっても4500人ぐらいの住民が住んでいるとかで、寒村という雰囲気ではない。ここは日本でも人気のあるブロンテ姉妹が暮らしたところだ。エミリー・ブロンテの “Wuthering Heights”(邦訳『嵐が丘』)を読んだことがあり、訪ねてみたかった。
 ハワースの最寄りの駅はKeighley。これで「キースリー」と発音するから不思議だ。「ス」は[th]の「ス」だ。ロンドンから列車で直行すれば Leeds(リーズ)乗り換えで3時間程度で来られるみたいだが、ノッティンガムからは接続が不便なので距離的にははるかに近いのだが、ロンドンからと大差ない時間がかかった。
 『嵐が丘』の舞台になっている土地だから、さぞかし風光明媚なところだろうと期待して来訪したが、期待通りだった。渋い煉瓦造りの家々の向こうに見える緑の丘の景観が素晴らしい。イングランド南部も良かったが、ここはそれを凌いでいるような気がしないでもない。何度も書いているが、イングランドはそれぞれの土地に美しい風景があることを実感する。キースリーへの車中で乗り合わせた中年の女性と話していたら、彼女は「そうなのよ。我々イングランド人はイングランドがいかに美しいところかということを知らな過ぎるのよ。私はこれから西ヨークシャーの友人のところに遊びに行くの」とロンドン郊外に自宅があるという彼女は語っていた。
 私も1990年代のロンドン勤務で英国のことを少しは知っている気でいたが、いや恥じ入るばかりだ。第一、イングランドだけでこれだけバラエティーに富んでいるとは。スコットランドはエディンバラに行ったことがあるだけだ。ウェールズ地方の知識は皆無に近い。とここで「懺悔」しても仕方ないことであるが・・・。
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 投宿したB&Bは小川が流れる低地にあり、そこから石畳の坂道をだらだら歩いてハワースの中心部に向かう。ここから眺める景観がいい。丘の頂上付近に風力発電の白い風車が見えるが、幸い、景観の「傷」にはなっていない。坂道では中高年の夫婦や家族連れの観光客とすれ違う。坂道の両側にはカフェを兼ねたゲストハウスやレストラン、年代物や装飾品を集めた雑貨店などが並んでいる。きっと日本人の女の子なら、「わー。可愛い。ねえねえ、見て見て!これ、可愛くない?」なんて黄色い声を上げるのだろう。私は石畳の坂道のせいか、なぜかしら京都・清水寺への参道を思い出していた。「湯豆腐を食わせる店はないかいな?」。もちろんそんな店などありはしない。別に日本食が恋しいわけではないが、最近、「お尻」の調子が気にかかることがたまにある。思い当たる節がないでもない。こちらでまだ温水洗浄便座にお目にかかったことがない。
 それはそれとして、よく考えると、ハワースはこれまでのイングランドの旅で「最北」の地でもある。それでも北のスコットランドにはまだだいぶ距離があるが、何だか一段と涼しい夏の地に来たような気もする。
 (写真は上が、ハワースの中心部の石畳の坂道。ここから少し脇道に入ると、ブロンテ一家が住んでいたブロンテ牧師館博物館がある。下は、坂道から眺めたハワースの景観)

Comments:5

たかす 2012-08-04 (Sat) 12:44

Keightlyの発音に驚きましたか(^_^) 私も驚いたことがあります。Haworth はホーワースと読んでいましたけれど /hæwərθ/なんですってね。ついでに baked beansは/ˌbeɪkt ˈbiːnz/が自然だと思いますが日本ではベークド・ビーンズなんです。期待通りの風光明媚とのこと。私は荒涼たる嵐が丘の風景をそこにみました。チャタレー夫人の評価が人によって違うとの報告を思い出します。同じものを見ながら見え方が違うのは喜ばしいことかもしれません。

nasu 2012-08-05 (Sun) 04:07

先生 本日、嵐が丘のモデルとなった原野を本日歩いてみました。好天だったので気持ちよく歩くことができました。少々きつい部分もありましたが。秋が深まるとおそらく荒涼たる風景になるのでしょう。

板東 美貴子 2012-08-06 (Mon) 20:16

那須さん
お元気ですか?
こちら 徳島は 夏真っ盛りで 家の中にいても熱中症にかかりそうな毎日です。
ロンドンオリンピックは 毎日テレビで何かしら見て 応援しています。

嵐が丘は 映画で初代の サー ローレンス オリビエ主演のもの その後の
remakeも 楽しんでみました。
Kathyの幽霊が”Let me in”と 言った
場面を いまだに 鮮明に覚えています。

映画は ヒースクリフが亡くなるところで 終わりでしたが 原作はそれ以降も続くようですね。

ところで先日 TTMC寺尾さんが そごうに隣接している徳島市立図書館に 那須さんの 本2冊を 寄付してくださり 置いていただけることとなりました。

では 引き続き体調にお気をつけて 御旅行ください。

nasu 2012-08-06 (Mon) 20:57

板東さん 嬉しいお便りありがとうございます。そうですか。猛暑ですね。こちらはセーターが欲しいぐらいです。今も少し震えながら、原稿を書いています。私は映画は観ていませんが、そのセリフ、確か
原作にもあったような・・・。これから、少し作品について書くので読んでみて下さい。寺尾さんの図書館への寄贈の件、まことにありがとうございます。心からお礼申し上げます。

板東 美貴子 2012-08-07 (Tue) 08:05

那須さん

お盆休みに入るので まとまった読書時間が取れそうです。再度嵐が丘を 読んでみます。(中学生の時 世界文学全集で読みましたが 途中で 挫折しました。)

お風邪を召されませんよう お気を付けください。

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