- 2012-05-18 (Fri) 03:43
- 総合
ロンドンに到着してほぼ一週間。文学紀行的な文章を早く書いてみたいのだが、毎日郊外の宿からバスと地下鉄を乗り継いで中心部まで出かけているので、帰宅すると結構疲れている。読みかけの本もあってそっちの方も気になる。かてて加えて、書店をのぞいていたら、面白そうな本を見つけ、これも買ってしまった。「遅読」の私にはますます辛い。
ロンドン中心部の目抜き通り、オックスフォードストリートにはエリザベス女王の即位60周年を意味する「ダイヤモンド・ジュビリー」(Diamond Jubilee)を祝うユニオンジャックの垂れ幕が掲げられ、華やかな雰囲気だ。6月3日にはテムズ川で豪華な記念行事が催される運びという。1000隻以上の船に、女王以下英王室のメンバーを含め2万人の参加者が集い、河畔から100万人の人々が見守るこの催しを、地元紙は "world’s biggest outdoor party" と表現していた。
7月末からはご承知の通り、ロンドン五輪が開催される。それで、英国中が二つの大イベントを前に盛り上がっているかと思っていたが、正直言って、よく分からない。盛り上がっているようでもあるし、そうでもないようである。今は、祝賀ムードに浸るよりも、ギリシャがユーロ圏から抜けそうな危機的状況に関心が行くのは仕方ないにしても。
カフェで目の前に座った私より少し年配の女性二人に話しかけてみた。ロンドンの南にあるギルドフォードという町に住んでいる姉妹のおばさんたちだった。「そりゃあ、楽しみにしていますよ。6月3日には私たちが住んでいる地区でもストリートパーティーがあります。オリンピックも楽しみ。聖火リレーはギルドフォードを通りますし」とほほ笑んだ。「オリンピックで景気も少しは良くなるんじゃないかしらと期待もしていますわ」
木曜日のガーディアン紙では、五輪開催により、GDP(国内総生産)を0.2ポイント押し上げるではという英国銀行の試算が報じられていた。五輪を見に来る海外からの観光客が落とすお金や五輪関連の公共工事などによる景気拡大を見越しての試算のようだ。もっとも、過去50年の例で見ると、五輪を開催した国は五輪後に必ず景気後退があり、永続的な効果は期待できないという経済専門家の見方も紹介していた。
ロンドン五輪が地元の人々、特に仕事を探している若者にとって、貴重な就業の機会を与えることは間違いないようである。木曜日のイーブニング・スタンダード紙(無料紙)は、ケータリング(仕出し業)や警備関係、清掃作業などの分野で少なくとも1万2千人のロンドンっ子が五輪期間に働く機会を手にすると報じていた。五輪期間中に雇用される人々の総数は約20万人に上る。五輪がもたらす臨時雇用の場が失業中の若者にとって長期的に仕事を見つける機会になることも期待されるという。
さまざまな期待を込めて、聖火リレーはこの土曜日、イングランド南西端のランズエンドからスタートし、12歳から100歳の市民8000人がリレーして、北アイルランドを含む英国全土を走り抜け、7月27日、ロンドンのオリンピックスタジアムに運ばれる。テロや混乱なく、ロンドン五輪が開催されることを切に願う。
(写真は上が、英国国旗のユニオンジャックが飾られた目抜き通りのオックスフォードストリート。下が、「あなたが女王様でも手にしておかしくないバッグ」と宣伝している商店)
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Comments:2
- Taka Asai 2012-05-18 (Fri) 06:51
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省一さん、いつも感心するんだけど、写真がとてもお上手ですね。被写体とアングルをよく考えてシャッターを切っているように思います。どんなカメラを使っているのですか(もちろんデジカメと思いますが)。
- 那須 2012-05-18 (Fri) 18:06
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Asaiさん、 写真の件ですが、アフリカの旅以来、ずっと同じデジカメです。携帯電話のように見えなくもない小さいカメラで重宝しています。写真が上手と思ったことは一度もありません。記者出身ですから、いい写真を撮りたいという気持ちだけはいつもありますが。参考にならない話ですね、すみません。