- 2013-03-15 (Fri) 01:25
- ミステリーな毎日
クリスマスはモンクにとっても全世界にとっても特別な日です。そう思って観ると、この回のストーリーにはスタッフの強い思いが込められているようにも感じられてきます。
ドラマの冒頭と最後にはクリスマス・ソングが流れています。冒頭のは女性、最後のは男性のボーカルですが、笑福亭福笑師匠は女性の声はブレンダ・リーではないかと推測されていました。クレジット・タイトルに記載がないのですが、何らかの方法で確認してみたいと思っています。
ドラマの前半で気になった場面が二つありました。モンクとナタリーがサンフランシスコ市警のクリスマス・パーテイに出掛けるのですが、留守番をする娘ジュリーの様子がたまらなく淋しそうです。こういう場合、アメリカでは子どもも連れてホームパーティに行くのではないかと疑問にも思ったのですが、ジュリーが孤独を背負って自立していかなければならない存在であることを象徴していたのかもしれません。またパーティでストットルマイヤーとディッシャーが聖歌を歌いますが、その時モンク一人は奇妙な方向を見つめています。クリスマスがトゥルーディの命日であることに思いが至ってしまったのでしょうか。その思いを止めようとしていたのでしょうか。それとも二人の刑事の歌に感激しすぎてしまったのでしょうか。ともかく考えさせられる1シーンでした。
クリスマスのお話しだけあって、この回の物語には明らかな宗教的なテーマが盛り込まれています。ストットルマイヤーは容疑者プレガーが自分への復讐を企てた決めつけ、潜伏先の教会に追いつめました。ところが、その教会のシスターはプレガーをかばいます。プレガーに対する憤懣に駆られていたストットルマイヤーを、シスターは実に深い宗教的な言葉でなだめるのです。
「許すことこそが最も完璧な復讐です」
その後、兄を殺したことを忘れさせたくなかった責めるプレガーに対して、ストットルマイヤーがする反論も深刻だったりするのですが、復讐の念を止めることができずに破滅してしまったのが今回の事件の真犯人です。また、実は「復讐」はトゥルーディ殺害の犯人を追い続ける「名探偵モンク」全体に関わるテーマにもなっているのです。
今回の毒殺トリックは、いかにして特定のターゲットに毒物を摂取させるかという点でアガサ・クリスティーの『三幕の殺人』やエラリー・クィーンの『災厄の町』のパターンを踏襲していますが、それでいて新鮮な印象を与えます。なかなかミステリーとしての出来映えも秀逸ではなかったでしょうか。
一度も雪を観たことがないジュリーの願いが叶いドラマの最後では文字通りの「ホワイトクリスマス」になります。トゥルーディが亡くなった夜から8年ぶりの雪です。モンクにとってはまさに「奇跡」のような雪だったのかもしれません。降らなかった雪が降ったということが何らかの変化の兆しを象徴しているとも解釈できるのですが、そう一直線へと解決へと進んでいかないのが、このTVシリーズのリアルなところです。例えば、今回ある認識を得たストットルマイヤーは、その後のドラマでさらに大きな憤りにとらわれ試練を受けることになります。
一方、このドラマにはトゥルーディが遺した緑色の小さな箱のプレゼントが描かれていました。後々、この箱の中味が重大な鍵になることを考えれば、このドラマの一話一話が未来を想定して作られていることがうかがわれます。登場人物達が抱え込んでしまった問題の変遷に対して、この『名探偵モンク』シリーズはかなり長期にわたる視野をもって描き続けようとしていると考えられるのです。
- Newer: 「珈琲店タレーラン」は京都のどこにあるのでしょうか?
- Older: 有栖川有栖さんの新作『論理爆弾』(東京創元社)という名の爆弾
Comments:1
- exod 2020-03-11 (Wed) 06:03
-
こんにちは。
パワハラ指切断でおなじみのド屑県香川のド屑企業フジフーヅでございます。
裁判も会社ぐるみで偽証をして無事乗り切ったド屑でございます。
餃子シュウマイなどをスーパーで販売しております。
店頭で見かけましたらそのときはご購入のほどどうかよろしくお願い致します。