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『キングを探せ』(講談社)・法月綸太郎さんのこだわり

  (法月綸太郎さんの『キングを探せ』の真相部分に言及しますので、ご注意ください。)
  交換殺人の新しいバリエーションです。交換殺人を変形しただけで、そこそこ面白い作品はできるわけですが、「そこそこ」程度では満足できないのが法月綸太郎さんです。今回、探偵・法月綸太郎は間違った推理をして犯人に利用されそうになります。探偵の関わりよう一つで事件がとんでもない方向に進んでしまう一例です。もし犯人が意図的に探偵を誤誘導したのだとすれば、「操り」の問題が描かれていることになります。「操り」の問題にまで発展させると、この交換殺人そのものを企てた本当のキング=真犯人がいるのではないかということまで感じざる得なくなってしまいます。「操り」の問題は探偵小説を否定する効力をもっているのですが、活用の仕様によっては「そこそこ」以上の作品を生み出すことができるという一例になっている作品かと思いました。

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