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『謎解きはディナーのあとで』考②

(第二話「殺しのワインはいかがでしょう」の真相部分に言及しますのでご注意ください。)
今回は、なぜ宝生麗子(財閥令嬢)が刑事という職業についているのかについて説明がなされていますが、影山(執事)の来歴については謎のままです。ドラマの中だけに生存しているような人物造形がなされていることに変わりはありません。
 さて、名探偵になる条件とは何でしょうか。容易に解けない真相を見抜く推理力は必須条件でしょうが、それだけではなさそうです。今回、影山が真相にたどりつけたのは、ワインのキャップに小さな穴が開いていることを知っていたからだといえます。もちろん、それは影山が人一倍の観察力をもっていたからこそ知り得たことなのですが、他の人が知らないような知識や情報をもっていることも謎を解明するために必要な資質なのです。そういう意味で名探偵は幅広い知識を取得している専門家でもあるといっていいでしょう。しばしば科学者が名探偵役になるのも、その専門性が謎解きに有効に働くからです。執事という職業についている影山は衣食住に関する専門家なのです。ジッポーライターと百円ライターの違いについて、即時に判断できたのも彼の生活に関する知識の豊かさを物語っています。対照的に、お金持ちの家庭で育ったと想定されている宝生麗子や風祭刑事は、生活に関する知識が貧弱だという設定になっているのです。
 要するに名探偵は「もの知り」でなければならないのです。しかし、また一方で豊富な知識を連想力や想像力につなげていくことができる総合的な能力も兼ね備えていなければなりません。
 TVドラマの方は大幅な脚色がなされていました。犯人までをも変えられています。「ねりからし」を作ると市販の物よりも辛くなるとうのも、影山の生活に関する知識です。

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