- 2009-01-14 (Wed) 13:01
- ミステリーな毎日
後年起こる「容疑者X」論争の種は、すでに巻末の綾辻行人氏との対談にあるように感じました。
個々人の作家の思惑を越えて、本格推理の世界にも「歴史の狡知」が働いていると笠井氏は考えています。
問題は、その「世界精神」なるものの操作や予測は、そもそも不可能なのではないかという点にあるのです。
綾辻氏が、「楽天的に」そして「予言の自己実現」にならないようにと論じておられる背景には、その根本問題があるからだと考えます。
ホームズに比べポアロが記号的人物になっているという笠井氏の指摘にも、私としては幾分疑問が・・・。
- Newer: 『傍聞き』、長岡弘樹さんの傑作短編
- Older: 『探偵小説のクリティカル・ターン』、笠井さん側再び