- 2008-03-30 (Sun) 01:23
- 21世紀アガサ・クリスティー
アガサ・クリスティーは別の作家名義でミステリーではない小説も書いています。その中の『春にして君を離れ』を読んでみました。
純文学といえども、どこかミステリー仕立てです。汽車の遅延のため砂漠にポツンと残された夫人が、夫や子ども達の過去を疑い始めるという設定なのですが、その疑惑の矛先が最終的に自分自身に向いてくるあたり、推理小説とは違うところです。
本当の真相は暴かれずに終わります。そもそも本当の真相とは何でしょうか。そこに踏み込んでいけない人間の孤独が見事に描かれています。
やはりクリスティーは偉大な「作家」でした。
- Newer: 校正は愉しい!?
- Older: いよいよ、いよいよ、その時が近づいてまいりました。