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アガサ・クリスティーの純文学①

 アガサ・クリスティーは別の作家名義でミステリーではない小説も書いています。その中の『春にして君を離れ』を読んでみました。
 純文学といえども、どこかミステリー仕立てです。汽車の遅延のため砂漠にポツンと残された夫人が、夫や子ども達の過去を疑い始めるという設定なのですが、その疑惑の矛先が最終的に自分自身に向いてくるあたり、推理小説とは違うところです。
 本当の真相は暴かれずに終わります。そもそも本当の真相とは何でしょうか。そこに踏み込んでいけない人間の孤独が見事に描かれています。
 やはりクリスティーは偉大な「作家」でした。春にして君を離れ (クリスティー文庫)

 
 

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