Jump to navigation
2004-08-16
『一瞬の光』白石一文
12:00
お盆の間に読んでしまおうと思って、がんばって読みました。白石一文のデビュー作だ。文庫589ページってけっこう厚い。読後感は微妙かな。読み終えたぞっていう達成感はあったけど、実は主人公の橋田の設定が凄すぎてあまり感情移入できず。東大出の一流企業に勤めるエリートでしかも美形なんだよ。派閥争いとか政治家とのかかわりとかちょっと尊大な面とかがどうもね。恋人の瑠衣は社長の姪で、めっちゃ美人で、金持ちで、料理上手で、SEXの相性もよくて、橋田をめちゃめちゃ愛してるのだ。もうおなかいっぱいでしょ。それに対して、香折は不安定で、いろいろ問題を抱え過ぎな気がするし、どうも極端なんだよね。『見えないドアと鶴の空』の方が登場人物とかもうちょっとラフでよかったな。と、否定的なことをいろいろ書いたけど、読み応えはあったな。おもしろいのはおもしろかったし、挫折をいちお味わうわけだし、でもあんまり応えてなさそうだったけど。会社でばりばり働いて出世のこととかも考えている男の人とか読むと共感できる面もあるかも。ぴのこは、上司がいて、同僚がいて、競争があってみたいな会社組織ってよくわからないからな。白石一文、はまるよーとかいいながらつまづいちゃったけど、『僕の中の壊れていない部分』は期待してるんだ。デビュー作より、最近の方が好きなような気がするので、新しい方から読んでいってもいいし。