書籍

『夏至まで』 吉貝甚蔵

『詩集 夏至まで』
吉貝甚蔵

四六判、並製、136ページ 
定価:本体2,000円+税
978-4-86385-011-8  C0092

夏至まで

てんびんにのる昼と夜
その かしいでいくバランスに
短い夜の夢は
こぼれる

ねえ 水の音だね
うん 水路だよ

雨の気配が
鼻腔をなでる
目覚めはゆるやかな
船の軌跡か
夜の続きの
こぼれた夢を追いかけながら
水の都市をめぐる

ほら あの薄明かり
そう あれは海だね

忘れてしまった幾つもの
夜明け前が
そそぎ出す河口を抜け
そろそろと
まどろみの先に
出かけようとする
真昼までは まだ
遠い時間

【著者プロフィール】
吉貝甚蔵(よしかい・じんぞう)
1959年福岡市生まれ
所属誌 「季刊午前」「パルナシウス」
 日本詩人クラブ・福岡県詩人会・福岡文化連盟会員
既刊詩集
 詩集『ハイホー』(石風社 1997年)

【目次】

朝を待つ
夏至まで
あしたに向けての
最後の次に
声の行方
たずさえながら
うつむく季節

**
話を続けて
遥かへの対話
そこにいる
月夜の散歩
まん中にいる
海をわたる
直方体は夢の形象?
磁場まで
「不思議の国のアリス」奇想曲

***
スウィング・バイⅠ
スウィング・バイⅡ
スウィング・バイファイナル

☆ から始まり

****
美野島橋通り商店街
色の階梯
衝突する囁き
多面の明日へ
反・出・森記
そして たぶん

あとがき