ひょろながい小さな一つを、人差し指に乗せて、眺めてみる。このかたまりを、どれほど、俺は、バカにしてきたか。これを、多く口に入れる奴程、信用ならないと思ってきた。これに、喜びを感じる奴は、バカだと思って、疑いもしなかった。全ての指に、これを乗せた日には、何事も出来なくなるなんて、そんなバカな真似は、俺はけっこうと、格好の一つもつけていた。しかし俺は今、このちっちゃいのを、人差し指に乗せられる事を、喜びを持って、迎え入れている。
所詮、その程度の事という事か。この小さな上空の戦闘機からは、確実に見えはしないこの存在が、俺よりも、大きな存在である事は、違いない。この、手榴弾によって、左足を失った俺が、この小さな存在と、また会えたのは、どうしてだろうか。仲間は、自分の命と幸福を、手に入れるので俺の事なんて、誰も助けてはくれなかった。なんとか逃げ込んだこの場所に、少女が、この小さな存在を、運んでくれた。神とは、本当にいやがるのかもしれない。
俺たちは、「白米」という精神安定剤を、いつの頃からか服用していたのだ
少し満たされた俺は思う
「誰かが、助けてくれるかもという幻想は、捨てるべきだと」
小さな存在は、涙の形にも見える
全ての指にそれを乗せた俺は、動きがとれず、
次の爆弾で、左手も失った
きっとこう言われるだろう
幸せボケ
と
Posted by ARYTHM at 20:03:31 [ ひとりごと ]
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