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体重計の若者

  • 2010-09-14 (Tue) 03:56
  • 総合

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 タンザニアに来て、あまり心弾むことは少ない。それはダルエスサラームでも同じだ。一つにはナイロビで購入したアフリカ旅行者用ガイドブックで、この国を旅する人々に対し、強盗、窃盗、スリに注意するようにという警告文が掲載されていることにもあるのだが、これまで訪れた国々と異なり、人々になんとなく、単に英語がうまく通じないという言葉以上の壁を感じる時があるからだ。
 20年以上前にこの国を訪れた時の印象はよくは覚えていないのだが、人々の顔にもっと笑顔があったような気がしてならない。確かに町を歩けば、高層ビルもあるし、高級ホテルもそびえたち、それなりの発展の証左は見ることができる。しかし、一歩裏通りに出れば、外壁の文字も読めないほど廃れた通りがあり、かつては高級アパートだったに違いない中層住宅の通りに面した窓一杯に洗濯物がほされている光景が見え、生活感よりも疲弊感を感じてしまうのだ。
 スワヒリ語から英語への通訳を頼んだ地元のベンジャミン氏(39)に尋ねる。この20年間で暮らしは楽になったか。「いや、残念ながら、ノーです。第一、仕事がない人が多い。失業率は私の感覚では50%以上という感じです。私自身、今仕事を探している。仕事があっても、大半は毎月15万タンザニアシリング(約1万円)に届かないのでは。バスに乗っても、自宅から職場まで往復で一日千シリングかかるのに、どうして家族の食費や医療費、教育費などをまかなっていけますか」
 確かにケニアと比べると、タンザニアの苦境は歴然だ。かつては大差なかった米ドルとの交換率で見ると、ケニアでは1ドルが80ケニアシリングなのに対し、ここでは1ドルが1500シリングに達する。18倍ほどの開きができてしまった。
 この背景には、さまざまな要因が指摘できるだろう。ニエレレ政権時代に毛沢東中国を手本にした社会主義を掲げ、農民の大量強制移住政策を推進し、農業生産に大打撃を及ぼしたこと。主要産業だけでなく不動産の国有化にも出て、この国の経済の中枢の一角を担っていたインド系住民の国外脱出を招いたこと。独立以来、現在に至るまで政権政党に変化がなく、政治責任の追及や汚職の一掃が実現していないことなどだ。
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 中心部に近い海に面した通りを歩いていたら、体重計を前にたたずむ若者(19)がいた。何をしているのか尋ねると、通行人の体重を測る商売だという。儲かるの? 「一人から500シリング(30数円)もらうことにしており、一日五千シリングぐらいの上がりかな。でも、この体重計の所有者に毎週1400シリングの借り賃を払わなくちゃならないんだ」と語ってくれた。ベンジャミンが言う。「悪事に走る者がいる一方、こうやってまじめに稼いでいる若者もいるんですよ」
 (写真は上が、ダルエスサラーム市内。高層ビルもあり、遠くからの光景はナイロビとそう変わらない。下が、体重測定を商売にする若者。私も測ってみたら、70・5キロ。靴、衣服の分を引くと69キロ以下か。日本を立つ前は裸で74キロあったからうれしくなった。貧乏旅行を余儀なくされている効果あり?)

Comments:3

MOTOKO 2010-09-14 (Tue) 11:24

那須さん、お元気そうですね。
いつも拝見させていただいております。
日本で暮らしている私には想像もつかないようなことがたくさんで
考えさせられます。
その後、体調はいかがですか?
スッキリお痩せになってますます若く、これはロマンスも期待できそう・・・?
どうぞお体に気をつけてお過ごしくださいね。

追伸 妹が飽きたらしいので、私が手相の勉強始めました。お帰りになったら、実験台にぜひ(笑)

nasu 2010-09-14 (Tue) 12:49

素子さん ありがとうございます。私も体重が落ちたのは不思議なんです。運動不足の日々でしたから。こちらに来てまだ一度もプールで泳いでいませんし。ただ、できるだけ昼飯を抜く生活は依然として続けており、それも一因しているかもしれません。お金がないから暴飲暴食もしていませんし。妹さんの手相見に勇気付けられてここに来たようなものですから、いつでも実験台になります、はい。那須

めるすき 2010-09-15 (Wed) 09:29

写真を拝見する限りでは平穏な国のようにみえますが、そこに身を投じないと内状はわからないものですね。
側面に大きな問題を抱える深刻な国と感じました。

やはり体重がダウンしたようですね。過酷な日々が続いていますので体力維持には十分お気をつけください。

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