- 2010-09-11 (Sat) 18:41
- 総合
やはり日本の感覚でアフリカを考えていると、とんでもないことになってしまう。ルワンダのルスモからタンザニアのカハマという都市まで着いたその夜、その次の目的地アルーシャまでの道程を考えていた。ガイドブックのコンパクトな地図を眺めながら、九州の地図を連想して、そうだな、福岡から宮崎ぐらいの感じかなという程度のことを頭に描いていた。博多から宮崎までなら高速バスで4時間ぐらいだ。
長距離バスがカハマを出発したのは午前6時。切符を調べていた車掌にアルーシャには何時ごろ着くだろうと尋ねると、少しの間があって「イレブン(11)」という答えが返ってきた。そうだな、やっぱり、5時間程度のドライブだろうな。その程度なら辛抱できる。
とはいかなかった。走れども走れども到着しない。ルワンダは緑豊かな田園光景もありそう退屈はしなかったが、今回はわりと単調な草原、土漠の風景が多かった。日本の長距離バスなら定員があり、ゆったりした座席で居眠りも可能だが、こちらでは停車する回数もおびだだしく、しかもそのつど定員以上の乗客が乗り込んできて、常にすし詰め状態。冷房もそう利いておらず、息苦しい。窓を開けたいところだが、しょっちゅう道路工事区間に入り、強烈な土ぼこりを舞い上げながら疾走するから、とても窓など開けられたものではない。ちなみにここでも道路工事を手がけている国は中国のようで、車体に中国語が書かれた工事車両と盛んにすれ違った。
時刻を確認すると、とっくに午前11時は過ぎている。あれれ。まだもう少しかかるのかな。ちょっと小用をしたくなったなと思い始めていると、バスが急停車。見ていると、乗客の三分の一ぐらいが木々の中に分け入っていく。あ、みんな同じだ。私も急いで後を追いかけ、ほっと一息をつく。女性はさすがに男より深く分け入っているようだ。
座席に戻り、再び出発。仮設道路を走っているから、揺れも激しい。そのうち、私のすぐ隣の男が頭をかがめ吐き始めた。吐しゃ物が足元に流れてくる。おい、やめてくれよ!
ふと、視線を上げると、なんと荷物棚の上に死んだ鶏が置かれている。何でもありだなと思っていると、鶏がじろっと目を開けた。なんだ、生きているのか! 鶏は声を上げることもなく、車体の揺れに身をまかせ、気持ち良さそうに頭を上下させている。かなり「旅慣れた」鶏のようだ。しばらくは鶏を観察して退屈さをまぎらす。
結局、アルーシャには午後5時ごろ到着。車掌が意味したのは、11時間かかるということだったのだ。考えてみれば、四国の1・5倍ほどのルワンダから日本の2・5倍のタンザニアに来たのだから、それぐらいの差異はあって当然。こんなに長く、休憩時間もなく、すし詰めのバスに乗ったのは初めて。さすがに疲れた。でも、国内線といえども飛行機に乗る余裕のないアフリカの一般の人にはこういう旅が普通なのだろうといい勉強になった。
(写真は上から、途中で大きな奇岩の集まりがいくつか車窓から見えた。印象的にはこんな感じの土漠が多かった。バスが停留所に着くと物売りの人たちが車窓に群がった。気持ち良さそうに眠る荷物棚の鶏。一番いい席はここだったかもしれない)
Comments:3
- めるすき 2010-09-11 (Sat) 20:36
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タイトルが笑えてホッとします。
ドライブの時間、意思の疎通がうまくいかなかったことが良かったかも知れませんね。最初から11時間かかると聞かれていたら、気が遠くなる、もしくは腹をくくる、どちらでしたでしょう(笑)。
それにしても長旅、日本との違いの大きさにも仰天しました。兎に角ご無事でアルーシャ入り、フーと息を吐きながら一気に読ませていただきました。本当にお疲れさまでした。 - 立川の介護福祉士 2010-09-11 (Sat) 23:54
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仕事から帰ってきたらパソコンの前に座るのが日課になりました。ハラハラ、ドキドキ、にやにやしたりしながら那須さんの姿を想像しています。とにかく元気に日本に帰ってくることを祈っています。14日に築地の病院へ検査に行きます。社屋が近くちに引っ越ししたとのことなので誰かに面会しに訪ねて那須さんのことをおしゃべりできたらなと思っています。もし、面会できたら報告しますね。
- 福岡のシノブです 2010-09-12 (Sun) 23:57
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那須さん大変興味深く読ませていたただいてます。
11時間のバスの旅は気が遠くなりそうです。
今、香水の発表会の準備に追われてます。