- 2010-09-10 (Fri) 09:38
- 総合
火曜日昼にキガリを立ち、東隣のタンザニアを目指した。これまでは飛行機を利用しての旅だったので、一度ぐらいは陸路でのんびり動きたいと考え、長距離バスに乗り、まずはタンザニアとの国境の町ルスモに。途中、倒木のため、しばし立ち往生する場面もあったが、まずまず快適な4時間ほどの旅が楽しめた。
ただ、ルスモは今思い返しても不可思議な町だった。国境の町であれば、交易での賑わいを連想するが、そうした風情は全くなし。第一、町は電気が通じておらず、夕方になると、発電機で明かりをともしていた。バスを降りたのが発電機の稼動する直前の夕暮れだったこともあり、うら寂れた印象を一層強くしていた。この日のタンザニア入りは無理で、地元の人に尋ねておそらくそこ一軒であろうと見られるコテージ風のゲストハウスに泊まることにした。もう一回泊まれと言われても固辞したくなるような宿だった。宿帳を見ると、1日に何人かは泊まり客があるようだ。
国境となっている橋を手短に見学してゲストハウスに戻ろうとしたら、長距離トラックの運転手らしき人たちがトラックのそばで夕飯の準備をしていた。おや、うまそうですね、と声をかけると、一緒に食べないかと誘ってくれた。喜んで彼らと歓談。六人全員タンザニア人で、二人一組で三台のトラックを運転しており、この夜はトラックの中で寝て、翌朝キガリに向け、出発するという。イスラム教徒の務めであるラマダン(断食月)を守っており、日が沈もうとしているこれからようやく食事という次第だ。
甘いお茶とうまいスパゲッティをいただき、彼らと談笑していると、警察官が初老の男性と一緒にやって来た。どうも私に話があるみたいだ。どこから来たのか、仕事は何か、ルワンダの印象はどうだったか、などと色々質問してくる。興を殺がれた感じになったので、親切な運転手さんたちに「食事はまだこれから本番だよ」と引き止められたものの、お礼を言って別れを告げ、ゲストハウスに。ゲストハウスは食堂とバーが併設してあり、薄暗い食堂をのぞいてみる。数人の泊り客らしい人たちがひっそり食事していた。テーブルにつき、何気なく、壁を見ていると、ネズミがすっと走り、壁にできた穴に入っていく。ウエイトレスらしき女の子たちに話しかけてみるが、悲しくなるほど英語が通じず、会話がなりたたない。
食堂の隣のバーからは大音量の音楽が流れてきて、時折、地元の若者の絶叫が聞こえる。「捨て置かれた」ような国境の町に暮らすやるせなさを叫んでいるかのように聞こえた。
(写真は上から、ルスモへの途中、道に倒木が。地元の住民が倒木をなたで切断して、どうにか通れるようになった。ルスモへの途中、日本の水田かと見間違うような稲作の田んぼがかなり長時間見られた。タンザニアのトラック運転手さんがスパゲッティの夕飯を準備。なかなか美味だった。ルスモのゲストハウスから見えた光景)
- Newer: 荷物棚の鶏、ココケッコウ
- Older: 千の微笑みの国
Comments:3
- 穴井郁夫 2010-09-10 (Fri) 21:02
-
那須さん
無事でアフリカをさるき続けておられるようで、何よりです。アフリカでもゴルフをするとは、那須さんがほんとうにゴルフに惚れているのを改めて認識しました(ゴルフに注ぐ「熱」を異性に向けたらすごい恋ができますよ! いつまでも元気に長生きするためには、1が歩く、2が日記をつける、3は恋をすることだと、某テレビ番組が紹介していました。那須さんに3が加われば、いうことなしですね!)。
すっかりご無沙汰しました。7月半ばから8月末まで現役時代以上の仕事があり、地元市川周辺をさるくウォーキングをする時間がまったくゼロの日が続きました。9月になって昼寝ができる程度の日もあり、10日は早朝に久しぶり2時間歩きました。
その久しぶりのウォーキング中、江戸川土手沿いにある公園のベンチの周りに警察官がいて、近づくと、ホームレスのひとがベンチで息絶えていました。人の死を外で見るのはこれで3度目です。ショックを受けたのは、その痩せこけぶりでした。文字通り骨と皮という感じでした。「今の日本で・・・」。それ以上は言葉がありませんでした。
9月のリポートに続いて、このあと、8月分を拝読・拝見させていただきます。
道中、引き続き、お気をつけて。
穴井 - nasu 2010-09-11 (Sat) 00:11
-
穴井さん ありがとうございます。私に穴井さんのその100分の1の情熱があれば、違った人生をさるいていたことでしょう。そのうちに書けるかどうか分かりませんが、こちらもいろいろ問題が生じております。しかし、目撃された方のように餓死せざるを得ないほどの窮状ではありませんので、なんとか南アまでたどり着きたいと願っています。やはりタフさが要求されるところです、アフリカは。私のように人をすぐに信じる(信じたがる)人間には時としてつらいことがありますが。ありがとうございます。那須
- めるすき 2010-09-11 (Sat) 19:50
-
映画や本のタイトルのような「国境の町」
バスに4時間揺られて立ち寄られたルスモ、いろいろ体験されたようですね。
青田が広がる光景はアフリカとは思えないほどです。
自給用なのでしょうか。
山村のような町の片隅で、絶叫する若者たちの声はどこに届けばいいのでしょう。
那須さん、食にはそれほどお困りではないものと思いますがお疲れがでませんようにお気をつけください。