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国民融和

  • 2010-09-03 (Fri) 02:37
  • 総合

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 ホテルでルワンダの唯一の日刊新聞「New Times」の編集局長代理の到着を待っていた。前日、新聞の片隅に載っていた編集局の電話番号に電話をかけると、最初に電話に出たのが本人だったので少し驚いた。編集の最高責任者の立場にある人だ。日本の新聞社なら地方支局でも支局長が支局にかかってきた電話を一番最初に取ることはまれだろう。自分がアフリカの旅にあり日本の元新聞記者で、少しお話を聞かせてもらえないかというと、即座にOKしてくれた。
 やってきたのは、若々しい男性だった。コリン・ハバ氏。31歳という。
 最初の質問はなぜ、あれほどのジェノサイド(大虐殺)がありながら、わずか16年で国民融和が実現したのか、いや、本当に実現しているのかという疑問だった。
 ハバ氏は明快に答えた。「端的に言うと、強力なリーダーシップがあったからです。カガメ大統領の指導下、国民各層がエスニシティー(民族、部族)にとらわれず、みんなが参加できる社会作りに取り組んだ、その成果が今のルワンダです。これからもっと良くなる。私はとても楽観的です」
 そもそもなぜあのようなジェノサイドが起きたのでしょうか。「政権の座にあったものの
私利私欲です。植民地時代以来の「divide and rule」(分断統治)で国民の間に溝をつくり、政権を維持しようとしたのが、ジェノサイドの背景にあります」。その国民融和は着実に進展していますか。「例えば、フツ、ツチの人を並べて、両者を言い当てるなんて、我々ルワンダ人でもできません。だから、当時の政権はIDカードで差異を明確にしようとしたのです。今はそういうことはしません。今のルワンダ人にフツかツチかエスニシティーを聞くのはとても失礼なことです」
 ハバ氏自身はジェノサイドの時、隣国ウガンダの全寮制の高校に通っていた。ジェノサイド後、帰国して国内の大学を卒業、カナダの大学院で修士課程を終了した。周囲からはそのままカナダで就職したらと勧められもしたが、「祖国はルワンダ」との思いが強く、再び帰国し、ジャーナリズムが大学時代の専攻だったことから、発足して間もない新聞社に就職した。現在記者の数は40人。「とてもタフな仕事です。西側のそれと違って、我々の仕事は国民を教育する、啓発する責務を負っています。そうかと言って、人々の間に入って情報を取ろうとすると、こちらが記者と知るとなかなか口を開いてくれない」。
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 ハバ氏が誇りとするのは「New Times」のウエブサイトに国内で断トツのアクセス数があることだ。「国内外の人たちがさまざまな情報を求めて我々のサイトにアクセスしている。やりがいがあります」
 詳しい統計はないが、96年に680万人だったルワンダの人口は今、欧米に散ったディアスポラ(離散)の人々も帰国しており、1100万人ぐらいではないかという。
 (写真は上が、インタビューに応じる「New Times」紙のコリン・ハバ氏。今は独身だが、来年当たり結婚したいと語っていた。下が、キガリの商店街の一こま。ここでも携帯電話の商いで賑わっていた)

Comments:7

くろまめ 2010-09-03 (Fri) 07:49

省一さん おはよう~

今朝の日差しははっきり秋を感じさせます。
が~~~関東は猛暑に切り替わることは明らかです。

毎朝夕「アフリカをさるく」を読んでいます。
体調も快調ということでその感じは食からも、出会いからも伝わってきます。うれしいばい。

早速「ルアンダ NewTimes」を検索しました。翻訳版も読むことが出来ました。
国民健康保険、それからカガメ大統領が死刑の中止を呼びかけていることなどには考えさせられました。

めるすき 2010-09-03 (Fri) 16:52

現地で取材されての那須さんの情報はありがたいです。
その後、急速な復興を遂げてきている経緯が
よく理解できました。
New Timesも検索して読みましたよ~
これからも時々覗いてみようと思います。

新しい文明の利器、携帯電話は
世界中で普及率が急上昇してますよね。
ルワンダでも既に必需品になりつつあるのでしょうか。
ちなみに私メの携帯電話は
「らくらくホン ベーシックⅡ」です。
年がばれそう(笑)

奥野じゃが 2010-09-03 (Fri) 19:17

さるくを毎日読んでます。

奥野じゃが 2010-09-03 (Fri) 19:21

アフリカさるくを楽しく読んでます。
アフリカの人の写真ばかりでなくたまには那須君の元気な写真も出してください・・・あまり見たくはないけどハハハ

nasu 2010-09-03 (Fri) 22:30

くろまめさん、めるすきさん コメントありがとうございます。ルワンダは「常春の国」とかで日中の日差しは強いですが、木陰に入ると、涼しく快適です。本当、ずっとここにいてビールでも飲んで、読書でもしていたいと思わせるところです。ナイロビもそうですが。
奥野君 そうや。うれしいばい。俺もそう思うっちゃが。俺の写真ば出したら、みんなのけぞるばい。じゃかい、自分の
写真は遠慮しとるっちゃが。(西都弁というか米良弁です。
高校時代の同級生にはどうも標準語で科研、いや書けんです、標準語の皆さんには失礼します)

tajima 2010-09-04 (Sat) 18:49

那須さん、快調ですねえ、よかった。
実はどういう縁かはまたそのうちお話することにして、那須さんのふるさとに行ってきました。そして、東米良のしかも尾八重まで、行きましたよ。小高い山の上にあり、地上に比べて涼しく、森の緑も、川の水もさわやかで。懐かしいふるさとの香りがしました。那須さんの著書3冊。ふるさとの市役所にお渡ししてきました。
それでは、これからも珍しい旅の記録を楽しみに待っています。

nasu 2010-09-04 (Sat) 19:37

田島さん
 そうですか。東米良にまでいかれましたか。ありがとうございます。あの緑、川の水、得がたいですよね。九州はいいところばかりではありますが。
 拙著まで寄贈していただき、お礼申し上げます。ありがとうございました。
那須

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