- 2010-08-30 (Mon) 03:34
- 総合
丘の上にある空港から首都の中心部に向かう道路をタクシーで走っていて奇異な感じがした。ごみ一つ落ちていないのだ。うわさには聞いていたが、なるほど政府が先頭に立ってきれいな町作りを推進しているだけのことはある。
ルワンダ。ナイロビから飛行機で1時間10分ほどの距離にある国。時差はナイロビと1時間。ルワンダと聞くと、どうしても、1994年の大虐殺(genocide)のことが頭に浮かぶ。ナチスのユダヤ人に対するホロコースト(holocaust)、クメールルージュのカンボジア国民虐殺とともに、世界史にずっと刻まれるすさまじい悲劇だ。
私はルワンダ虐殺が起きていた時、読売新聞社のロンドン支局に勤務していた。現地での取材体験はない。今でも記憶に残っているのは、自宅のテレビで見たBBCかCNNの映像だ。ビルの高層から撮ったと思われるロング・ショットの映像で、太い棒切れを右手にもった男が5、6人の男女を地面にひざまずかせている。撲殺するためだ。頭にスカーフをかぶった中年の女性が両手を合わせて命乞いしている。昨日まで親しい隣人だったのだろうか。男は棒を振り上げ、彼女の頭を何回も殴打する。殴打されるたびに横たわった女性の両足が上がる。ほどなく彼女の体は動かなくなった。
多部族(民族)から成ることの多いアフリカの国々で、ルワンダと隣国のブルンジはフツとツチという二つの部族から構成される。両国ともに多数派を占めるのはフツ族だ。94年の虐殺では多数派のフツが少数派のツチを襲い、当時人口七百万人のこの国で百万人以上のツチ及び虐殺に加担することを拒絶した穏健なフツの人々が殺され、二百万人が難民となったと言われる。
そのルワンダの首都キガリに入った。ポール・カガメ大統領が今月実施された大統領選で再選を果たし、これからさらに7年間の国政を託されたばかり。カガメ大統領の指導下、フツ、ツチの融和が着実に根付いていっていると聞いていた。入国ビザをもらうためにナイロビのルワンダ大使館に足を運んだ時に、窓口の受付で出会ったルワンダ人男性は「おや、キガリに行かれるのですか。ようこそ。キガリはアフリカで最も安全な都市ですよ。安心して楽しんでください」と声をかけられていた。
とはいえ、あれだけの不幸な出来事をつい最近(94年)体験したルワンダである。非礼な質問はしてはいけない。はてさてどうやって話を聞いていこうか。
(写真は上が、キガリ市内の典型的光景。「千の丘」の国と言われるだけあって、緑の丘の上に住宅が点在していた。下が、夕食を食べに行ったレストランのお客さん。膀胱炎でずっと服用していた薬からもようやく解放され、地元のビールを心行くまで楽しんだ)
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Comments:1
- めるすき 2010-08-31 (Tue) 09:57
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不幸な出来事の言葉では済まされないような
1994年の大虐殺、それも内戦で
冷静な気持ちでは読むことができませんでした。
「千の丘」の国と言われているルワンダ
これからも平和でありますように・・・
薬よさようなら~快気お祝いにビールのお味も格別!!
ポレポレのお心でお過ごしください。