- 2010-08-26 (Thu) 14:33
- 総合
かつてナイロビ支局で仕事をしていた時、最も頼りにしていたのは英国BBCのワールドサービス放送だった。外出先でBBCの定時のニュースを聞き、大きな出来事がアフリカで起きれば、支局に取って返していた。支局が高層ビルの二階の奥まったところにあり、しかも当時は短波放送だったため、受信状態があまり良くなく、ラジオの場所をいろいろと移動して何とか聞き取ろうとしたことを覚えている。
邦人との1対1でのインタビュー中に、突然、バッグからラジオを取り出し、ワールドサービスのトップニュースをさらっと聞いた後、何事もなかったかのようにインタビューを続けた先輩記者がいたとも聞いたが、マナーはともかくその気持ちはよく理解できる。
今回驚いたのはこのワールドサービスが地元のFM放送でこれ以上ないくらい明瞭に聞けることである。それもなんと、携帯電話にFMラジオの機能がついており、深夜早朝、枕元で楽ちんに聞けるのである。(余談だが、日本の携帯電話を使うと地元の人との電話でも高い料金となるため、私はラゴスで地元の携帯電話を購入。ナイロビではシムカードとか呼ばれるものを交換して使用している)
BBCナイロビ支局のトップのキャサリン・フェローズ支局長を訪ねた。ケニアで地元のFM放送を利用してワールドサービスを開始したのは1997年のことという。
「我々の放送はアフリカ全土で親しまれ、敬意を抱かれています。ただ、最近は地元のラジオ放送も格段に質が向上しているほか、中国やフランスの放送局などといった手ごわい競争相手も増えていますので、安心はできません。それで(東アフリカの視聴者を対象に)スワヒリ語のウエブサイトも最近始めたばかりです」とキャサリンさんは語った。
中国が資源を求めて積極的にアフリカに進出していることはご承知の通りだ。ナイロビの中心部でも中国の支援で大規模な道路建設が進んでいる。メディアの現場でも存在感を示しつつあるとまでは知らなかった。
キャサリンさんの言葉に触発されて早朝、携帯電話のFMラジオの周波数をいじっていたら、91.90MHzで聞こえてきた。China Radio International。中国各紙の紙面の紹介や中国語の基礎講座も流していた。中国の「一人っ子政策」で1980年代に誕生した世代の90%以上が両親の面倒をみることに困難を感じているという報道も紹介していた。
BBCに負けない聞き取りやすい英語でなるほど、キャサリンさんが「脅威」に感じるだけのことはあると思った。ただし、アフリカ諸国のきめの細かいニュースはさすがにまだBBCの「独壇場」だろう。
(写真は上が、BBCナイロビ支局長のキャサリンさん。アフリカ報道のベテランだが、ナイロビ勤務は1年ほどだという。下が、ナイロビ市内で進む中国が絡んだ道路建設の現場)
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Comments:1
- めるすき 2010-08-30 (Mon) 21:12
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那須さま:
那須さんがナイロビ支局に勤務されていたのが
20数年前でしたものね。
懐かしくもあり、色んなことが発展していて
感慨深い思いではないでしょうか。
キャサリンさん、お写真から才色兼備な方とお見受けします。
中国、出ましたね。
良くも悪くもアフリカに与える影響力はすさまじいのでは?