- 2010-08-22 (Sun) 16:03
- 総合
ナイロビ市内を西北に向かって車を走らせれば、ウエストランズという地区に出る。ここにウエストゲイトという名の3年ほど前にできたショッピングモールがある。地元の人はここが市内でベストのモールだと言う。
なるほど、ミルク色の大きなビルの正面ゲートから次々に買い物客が出入りしていた。中は吹き抜けになっており、一階のゆったりしたスペースにはスーパーやカフェ、香水、宝石、アクセサリー店などが並ぶ。
欧米からの観光客かホワイトケニヤンと呼ばれる白人のケニア人か分からないが白人の姿や、エイジアン(アジア人)と呼ばれる旧植民地時代から住み着いているインド、パキスタン系のケニア人が目立つ。黒人のケニア人も負けてはおらず、ショッピングカートに山のように買い物した品々を積んでいる。
こうした光景を目にするたびに、黒人のミドルクラスが着実に増え続けているのではないのかと思えてくる。先に紹介したキベラのようなスラム地区から抜け出せない住民が依然多いことも承知してのことだが。
ナイロビ大学の人文科学学部長のエノス・ンジェル教授に尋ねた。教授は「国の発展はミドルクラスの国民の成長がかぎを握ります。ケニアは今、経済的にも政治的にもいい方向に向かっており、この傾向はこれからも続くと楽観しています」と語った。
教授の言う政治的な動きとは、今月初めの国民投票で新憲法が賛成多数で承認されたことを指している。「新憲法の特長はいろいろありますが、その一つは中央の権力が地域に分与されることです。一人の個人が絶対的な権限を握ることもなくなり、各地域がそれぞれの特徴を生かしながら、国づくりに協力することになります」
ケニアを代表するデイリー・ネーション紙は国民投票直後の紙面で国民の意識を探った世論調査結果を発表。それによると、調査対象者の76%が来夏には自分たちの暮らしぶりが良くなっていると思うと答えている。だからか分からないが、バスやマタツに乗り込んでも、乗客の雰囲気が柔らかい。安い定食を食べさせる食堂に入っても、周囲の視線が気にならない。
ネーション紙は21日の紙面で、低所得層の住宅地区で暮らす10人の女性がグループを作り、1日それぞれ20シリングを出し合い、お互いの生活を支えあっている記事を報じていた。ことわざでしか知らない「爪に火をともす」ような苦労を重ねての互助会なのだろう。上記の世論調査結果がぜひ現実のものになって欲しいと思う。
(写真は上が、ナイロビで一番モダンなウエストゲイト。写真を撮っていたら、警備員から「セキュリティー上、写真撮影は禁じられている」と注意された。下はナイロビ大学のンジェル教授。気さくにインタビューに応じてくれた)
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Comments:3
- ラフィキ 2010-08-22 (Sun) 19:27
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膀胱炎も治って快調ですね。楽しく読んでいますよ。
- なおくん 2010-08-23 (Mon) 11:19
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こんにちは
なおです。
去年、僕がLAに旅立ったときはありがとうございました。
ブログを開設していると砂月さんから聞いて拝見しております。
那須さんのブログを通してアフリカの現状を知ることができ、とても興味と感動でいっぱいです。
福岡から応援しています。
日本に帰ってきた際にはアフリカ生活の話を生で聴かせてくださいね^^ - めるすき 2010-08-30 (Mon) 12:47
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那須さま:
久々のコメントです。今日から少しずつ読ませていただきます。現状のスラム地区への思いは深いです。
教授の仰っていることは心に響きますし、本当に理想的なお考えだと思いました。まだまだ年数がかかるでしょうが国全体の人々の暮らしが良くなることを祈りたいです。
と、申しながらさて我が国はと、別な意味で考えてしまいます。