- 2010-08-08 (Sun) 17:45
- 総合
石油を産し、資源に恵まれ、日本のほぼ2.5倍の国土に約1億5千万の人々が住むナイジェリアは「グッドガバナンス」(良い政治)さえあったら、アフリカを代表する経済大国になっていただろう。残念ながら、そうはいかなかった。2回目の項でも書いたが、「コラプション(汚職)」が昔も今も蔓延しているためであり、社会から腐敗を一掃するリーダーシップが発揮されたことがないからだ。
ある夜、親しくなったナイジェリア人と夕食を食べに出かけた。彼は自分が20年以上前に住んでいた住宅街に案内してくれた。でこぼこだらけの道を車で走ること40分、着いたのはまばらな街灯と飲食店や雑貨店の軒先の明かりで辺りの様子が辛うじて分かるところだった。彼は言った。「この辺りは20年前と全然変わらない。何も良くなっていない。政治家は自分たちの口座を膨らませることだけを考えており、一般大衆は捨てやられたままの生活だ」
ナイジェリアの悲劇は国の成り立ちにも由来する。1960年に英国の支配を離れ、独立を果たすのだが、北部のハウサ・フラニ族、ラゴスを含む南西部のヨルバ族、南東部のイボ族という三つの言語、宗教、文化の異なる人々により構成され、今なお微妙な確執が続く。マイノリティー(少数派)の部族を含めるとこの国の部族の数は250を超えると言われる。60年代末にはイボ族の人々が独立を目指し、100万以上の人々が死亡したビアフラ内戦も起きている。
現大統領は北部のフラニ族の大統領の急死により副大統領から昇格した南部のマイノリティー出身のグッドラック・ジョナサン氏。来年1月には大統領選が控えており、南部ではジョナサン大統領の出馬を求める声が大勢だが、北部ではこれに反対する動きもあり、決着していない。
ナイジェリアの経済の低迷を象徴するのは通貨ナイラと対ドルの交換レート。1970年代には1ドル1ナイラかあるいは1ナイラが1ドル以上の価値もあったレートはその後徐々にナイラ安となり続け、現在1ドルは約150ナイラ。タクシー会社のオーナーが嘆いた。「70年代末には新車のプジョー(仏車)を4,500ナイラもあれば購入できた。今は最低でも4百万ナイラが必要で金のない我々にはとても手が出ない」(注:100円が約150ナイラ。私の印象ではこの国の「普通」の人の平均月収は約18,000ナイラのようだった)
(写真は、母親が営む雑貨店の前にたたずむ三人姉妹。カメラを向けるとポーズをとってくれた。彼女たちが成長したときの母国はこの笑顔にふさわしいものになっていて欲しいと願う)
Comments:1
- めるすき 2010-08-14 (Sat) 20:58
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問題が大き過ぎて、この国はこれから
どのように進んで行くのだろうと思いますと
ため息がでます。
多民族の国なんですね。250を超える、驚きました。
ナイラ・・・覚えましたよ。