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津波被災地訪問

  • 2011-06-09 (Thu) 23:40
  • 総合

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 本日、岩手県・三陸海岸の東日本大震災被災地を訪れた。大きな津波に見舞われた釜石、大槌、山田、宮古の市町だ。アメリカの旅を前に一度は被災地に足を運んでおかなくてはならないと考えていた。前にこのブログでも紹介した、釜石市で旅館を営んでいたSさんにこの旨を告げると、喜んで案内いたしましょうと言われていた。
 Sさんと会うのはほぼ20年ぶり。66歳になるというSさんは髪の毛が白くなった以外は当時の風貌のままで予想以上にお元気な様子。まずは一安心。
 盛岡から釜石市の被災地へ向かうまでは花巻市や遠野市の緑豊かな田園地帯を通った。津波の深刻な被災地に向かっている感覚はない。しかし、釜石市中心部に入ると、様相は文字通り一変した。Sさんが営んでいた旅館も建物自体は残っていたが、一階部分は津波の爪痕がひどく言葉を失った。居間だった部屋の書棚にはSさんがライフワークとしている三陸海岸の植物調査に役立てる参考書物が何冊か、泥をかぶったまま残っていた。周辺の住宅やビルも建物自体は残っているのだが、とても住める状況ではない。
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  鵜住居(うのすまい)と呼ばれる地区は何百軒だろうか、家々が根こそぎ持っていかれていた。防潮堤も何の役に立たなかったのが分かる。「津波の避難所に定められていた場所に逃げていても、津波でさらわれていった人たちも大勢いるんですよ。『想定外』の一言で片づけられる問題ではないと思います」とSさんは語る。
 隣接する大槌町、山田町の被災地はさらに被害がすさまじかった。「絨毯爆撃」という表現が頭に浮かんだほどだ。鉄筋コンクリートのビルや比較的最近建てられたと思われる二階建ての家は残っているのもあったが、ほぼ住宅地ごと津波にごそっと持っていかれた印象だ。残った家々の壁面には所有者が書いたと思われる「解体OK」との文字が見えた。
 町内を走る道路はがれきの処理が終わって車が通行できるようになっていたが、がれきが散乱していた津波襲来直後は被災した地元の住民には「生き地獄」と映ったことだろう。今もそうかもしれない。Sさんが言う。「もうすぐ3か月になりますが、今でも、自分は夢を見ているのではと思うことがよくあります。まだ信じられないんですよね」と。
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 Sさんは現在、盛岡市内で避難生活を続けており、釜石市内の仮設住宅への入居の順番待ちの日々だ。来月は県外で植物研究の集まりがあり、その集まりへの参加が楽しみと語っておられた。このような未曽有の津波の被害に遭っても、くじけることも悲嘆に暮れることもなく、淡々とライフワークを続けることに静かな闘志を燃やし続けておられる。
 「私は思うんですよね。原発にしろ、白砂青松の砂浜をコンクリートで埋め立て人工物を建ててきた文明が自然のしっぺ返しに遭ったのが、今回の大震災ではないかと。我々は自然に対してもっと謙虚にならないといけないのでは」
 駆け足で被災地を見た後、盛岡駅から東北新幹線はやて号に乗り東京に戻った。
 (写真は上から、釜石市中心部の津波の被災住宅。鵜住居地区はほぼ壊滅的状況だった。大槌町の津波被害地区。絨毯爆撃という表現が頭に浮かんだほどのすさまじさだった)

Comments:2

mutsuo 2011-06-13 (Mon) 13:29

那須君
久しぶりに開いた。ばたばたと日を送りよったかいね。
こないだ11日はゆっくりと話せんかったけんどん、やっぱみんなで集まっと、楽しいわ。おら余残なとがついてきたかい、あんまし騒がんかったが、相変わらず宮さまがせからしかったね。

おまや、あれじゃな、被災地訪問の翌日のなんじゃろかいじゃったつじゃな。俺がとこの学長(工学博士)が震災直後の被災地に行きやったっちゃが、那須君が言うのと同じで「爆弾でのきなみやられた戦場と同じじゃった」て言よりゃったよ。

「人間の体が引き裂かれて、あっちこっちにあったが、津波の跡と知らんければ、あんげな仕業をするのはまちがいなく爆弾以外にはないと信じるじゃろう」て言よりゃったよ。

それかい、臭いも強烈げなね。そういう被災地の千年に一度の体験を乗り越えて生きよりゃる方々には頭を下げる以外にないけんどん、ぜひとも難局をこえて、再興してほしいがね。支援に俺ん頑張るわ。

後ればせじゃが、もし本部さんがこれを読んでくれちょれば、本をおーきんです。確かに那須君かい受け取りました。感想はまたの機会にしっかりと致すつもりです。

「まどころ」での先生と那須君との写真も拝見したが、元気なごたって何よりです。

mutsuo 2011-06-13 (Mon) 13:32

書き忘れた。もう一人の女性は練石さんじゃね?ご無沙汰しちょります。

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