- 2011-03-11 (Fri) 10:53
- 総合
隣県は近くて案外遠いものだと思う。宮崎県人の私はこれまであまり、鹿児島県に出向くことはなかった。今は、そうではない。毎年1回は必ず、鹿児島県に足を運んでいる。大隈半島南端にある南大隈町。この町の人々に特別の親近感を抱くようになったからだ。
南大隅町はかつての佐多町と根占町が合併して誕生した町。私は読売新聞の編集委員時代に企画「集落点描」の取材でこの町を取材、特別な縁ができた。旧佐多町に打詰集落というのがあり、私は毎年3月の第1日曜日に打詰集落に足を運んでおり、今年が3回目。集落の「守り神」とも言える稲尾神社が祭ってある稲尾岳に登り、お参りをするのが集落の大切な行事であり、稲尾神社参拝に同行するのが目的だ。限界集落のため、この行事は昨今は地区外の人のボランティア参加で成り立っている。
南大隈町取材の翌年、町役場の人から「今年も稲尾岳に登りませんか。集落の人も楽しみにしているようですよ」と電話を受け、そこまで言われて拒絶できようはずもない。南大隈町は本州最南端の町。その中でも打詰集落はその名が示す通り、山里の奥深い地にあり、たどり着くのは一苦労の地だ。幸い、町役場で懇意になった人が都城駅で待っていてくれ、その夜は旧根占町にあるホテルに投宿した。
翌日曜日朝、再び車で打詰集落に向かい、地元の人々と合流。皆さん、笑顔で迎えてくれた。今年の登山者は17人。限界集落で高齢者が多いため、地元の人は2人だけで、残りは地区外、町外の人だった。こちらの人たちとも顔馴染の関係だ。稲尾岳は標高930㍍で、登山時間は3度の休憩を入れて約2時間半。坂が結構きついところもあり、そんなに簡単に登れる山ではない。山育ちの私も時にあえぎながら登った。だから頂上に着いただけで、安堵感で幸せな気分に浸れる。
山頂に着くと、祠の周りを掃除して、参拝。その後、楽しみにしていた昼飯となる。枯れ枝を集めて火を起こし、汗が引いて冷たくなった体を温める。それでなくとも、山頂は冷え込んで風邪を引きそうだ。登山途中で地元の人が見つけた自生の大量の椎茸をあぶって、それを肴にお神酒(焼酎)をいただく。うまいの一言。
下山した後は集落の集会所で宴会。集落の高齢のご婦人たちが心を込めて用意してくれた猪肉の煮付けや赤飯をありがたくいただく。手ぶらで接待を受けるわけにもいかない。もちろん金一封を包む。今年は近くで不幸があったとかで、葬儀に出かけざるを得ない人が何人かいて、そうした人たちとは再会がかなわず、残念だった。
九州新幹線の全線開業が明日(12日)に迫り、人口減、景気低迷に苦しむ南大隅町の人々も何とか、町起こしにつなげられないかと模索している。薩摩半島の指宿と南大隅町を結ぶ「山川・根占フェリー」も今月1日から再開されたばかり。フェリー到着所でレンタカーを始める動きも本格化していた。
(写真は上が、打詰集落から稲尾岳を望む。写真中央の平坦な所が山頂。右の三角のとんがりは山頂ではない。下が、稲尾神社の祠の前で焚き火しながらの食事風景)
Comments:1
- MOTOKO 2011-03-12 (Sat) 16:42
-
那須さん、昨日はありがとうございました。
お話を伺った後にあらためてブログを拝見すると
また違った思いがありますね・・・
ご本の完成、とても楽しみにしております。
帰宅してから映像を見て、凄まじさに愕然・・・でした。
結局朝4時過ぎまでずっとニュースを見ていて
その間にも余震が次々と。
貴子姫は、昨日はお友達と2人で信濃町から荻窪まで
歩いて帰ったそうです。
彼女はすごく体力があるので、今日も元気でした。
那須さんの姪御さん?は大丈夫でしたでしょうか?
花粉もそろそろピークを過ぎるそうですが
今年は寒いので、どうぞお体に気をつけてくださいませ。
ハッピーちゃんは、相変わらず・・・ですか?(笑)