- 2011-02-09 (Wed) 11:25
- 総合
銀鏡は幾つかの集落に分かれている。私の実家は銀鏡川が流れている川筋にある。子供のころは水量豊かな川だったが、今は川底の半分は渇いている。昔は泳いでいる魚を家の中から見ることができた。夏休みは水中眼鏡に「金突き」(かなつき)と呼ぶ、泳いでいる魚を突き刺してとらえる銛を手にこの川で遊んだ。私は要領が悪く、あまり魚を突くことができなかった。第一、社会人になってプールで泳ぎを覚えるまでは、かなづちだった。流れが速く、滑りやすいとは言え、ひざぐらいの水深の浅瀬でおぼれた経験があるのはそうはいないだろう。
長姉が嫁いだ先は実家から車で15分ぐらいの山中にある。車がなかった昔は歩いて訪ねたものだ。険しい坂道をあえぎながら上った。子供の足では1時間程度はかかったような気もする。曲がりくねった道を黙々と歩き、急に視界が開けて人家の屋根が見えた時はほっとしたものだ。集落の名は「古穴手」。これで「ふらんて」と呼ぶ。地名の由来は忘れたが、いろいろ勝手に民話の一つや二つこしらえることができそうな地名だ。
先述した通り、今は下の道からスーパー林道が山肌に沿うように通っており、家の軒先まで車で来ることができる。ドライブの景観はちょっとしたものである。あまり見とれていると、ガードレールのない区間もあり、真下は谷底のようなものだから、油断はできないが。このスーパー林道をまっすぐ行くと、前回書いた西米良村に到達する。道中の景観も素晴らしいので、次回に写真で紹介したいと思っている。
田舎に戻ると長姉夫婦に会うため、必ずこのふらんてに上がっている。義兄が炭火で焼いてくれる猪肉が楽しみでもある。昨夜は今年の狩で獲れたばかりの猪の肉をご馳走になった。都会の人に山の猪の肉の旨さを何度も説明したが、いつも、隔靴掻痒の感を抱いてきた。私は肉の脂身の部分は食べないが、猪の肉は別。体毛が少し残り、脂身のある部分がことのほか旨い。この猪の肉を肴にすると、いや、焼酎がまた格別の味となる。だいぶ前になるが、正月で帰省し、東京でお世話になっている人に猪の肉をお土産に持って行ったことがある。後日、家族の人から、脂身の部分はきれいにはぎ取り、犬に上げたら喜んで食べましたとお礼を言われ、返答に窮したことがある。
猪の肉だけではない。こんにゃく、山わさび、たけのこ、ぜんまい、さとがらなど、この辺りは山の幸の宝庫でもある。長姉夫婦は今も農林業を営み、特に無農薬、無垢の自然の中での椎茸栽培は素人の私が見ても、立派なものを毎年山のように作っている。
過疎の波で後継者問題が深刻なことはもちろんのことだが、近年は猪や鹿、小動物が上記の山の幸を食い荒らしているという。人間が旨いと思う山菜は彼らも同様のようである。
(写真は上から、上ってきたスーパー林道を見下ろす。長姉夫婦が住む家。猪の肉を炭火で焼く義兄。こんがり焼きあがると実に美味な味に)
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Comments:3
- 安代 2011-02-09 (Wed) 14:55
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「チョス」っておぼえちょるね?
宮崎県教職員組合の公益事業の一環として、文芸誌『しゃりんばい』がありますが、榎本朗喬(たかあき)著「カリコボーズ」が掲載されています。先生は昭和38年度から40年度の3年間を銀鏡中学校でお勤めになっておられます。先生の稿のカットは、省一さんの撮影した細い川の風景です。違うのは、せせらぎが聞こえてくるような川です。
先生の鮮明な記憶が当時の風景を描くように語られています。生徒達との交流・山登り・生徒の案内で雲海を見に。生徒達と魚釣り。ここで”チョス”の登場。神楽の夜のことなども。お!コレはボクのことかなあ?○○さんかなあ?と懐かしい時間の扉が開かれていくことでしょう。
カリコボーズのことを省一さんは聞いたことがあるね。
『しゃりんばい』は、県内主要の書店で販売されているそうです。銀鏡にご縁のある方にもお知らせしたくてこの場をお借りしました。(米良弁はこんげなときにはあわんかいよ ちょっときどってしもうたばい)
それんしても 猪のぎょうさんなこと!! - 安代 2011-02-09 (Wed) 15:16
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お詫びと訂正
榎本先生のお名前を間違って紹介しました。
正しくは、榎本朗喬(えのもと あきたか)です。 - 那須 2011-02-09 (Wed) 15:44
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安代さん 私は昭和41年度ー44年度が銀鏡中学じゃから、そん先生は入れ違いじゃな。チョスはもちろん知っとるばい。ゴムが付いた飛び道具の銛じゃが。あぶねえかいちて、中学生以下は使用禁止じゃったばい。かりこぼーずは山の神じゃな。河童のようでちょっと違うらしい。西米良村はかりこぼーずの里で売り出しちょるが。次にかりこぼーずの案内板をアップしますばい。 省一