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「南部の伝統に誇りを」

  • 2010-12-20 (Mon) 03:31
  • 総合

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 ジュバ大学を訪れた際、土曜日夜に独立の是非を問うレファレンダム(住民投票)を祝うコンサートを告知したビラを目にしていた。南部スーダンの歴史にまつわるドキュメンタリーと思われる映画も上映されると記してある。のぞいてみよう。
 ビラにはドア・オープンが5時半、映画の上映開始が9時と記されてあった。きっとコンサートが佳境に入るのは深夜になるのだろう。ジュバでこの二三日よく使っているバイク・タクシーのジェイムズ君も誘った。彼は今年に入り、妻の後を追って出稼ぎにやってきたウガンダ人だ。妻もコンサートに連れていきたいと言うのでOKした。
 その土曜日。午後8時過ぎに行けば十分かと思い、その時間に待ち合わせて車を呼んで出かけた。会場について、野外のコンサート会場であることを知った。時間もあるし、3人とも夕食はまだだったので、売店でチキンとチップスを買って腹ごしらえを済ませた後、会場の広場に。ステージの真ん前にあるテーブルに座り、幕が開くのを待った。昼間はとても暑いが朝夕は気温も下がり、湿度がないからしのぎやすい。
 ジェイムズ、ビールでも飲もう。冷えたタスカー(ケニアのビール)はないかな。(奥さんの)アネット、あなたもいかがですか、といった感じで気分は上々だった。
 ところが、夜9時になっても、まだ始まる気配がない。9時半、全然。10時、まだステージのスピーカーの調整をしている。10時半、スターが到着した気配はない。ジェイムズが言う。「ショウ、アフリカ時間だよ、これが」。「あんたもアフリカ人だろ。なら、これはジュバ時間と呼ぶべきだ」。アネットが「カンパラ(ウガンダの首都)だったら抗議の声がとっくに上がっているわ」と口をはさむ。
 テーブルの前にはタスカーの空き瓶が9本。11時近くなり、もういい加減ホテルに戻ろうかと思い始めたころ、ようやくドキュメンタリー映画の上映が始まった。
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 そんなに期待していなかったが、これが力作だった。南スーダン出身の若い女性が自主制作した小品で、スーダン南部の人々がなぜ北部のアラブの人々との共存ではなく、独立の道を求めなければならなかったのかということが簡潔にまとめられていた。印象に残ったのは彼女がこの映画で伝えたかったのは、かつては北部のアラブの人々から野蛮、未開とさげすまれた祖先の文化、伝統は何ら恥ずべきではく、自分たち若い世代は誇りを持つべきだというメッセージであることがよく理解できたことだった。国作りの根幹は海外の視線が注がれる石油ではなく、多くの人々が生活の糧を得ることができ、また日々の暮らしの礎となる農業であると訴えていることにも共感を覚えた。
 コンサートが佳境に入った午前2時過ぎにホテルに戻った。本日、町で英字紙を買って読んでいたら、上記の映画を制作した女性のインタビュー記事が載っており、彼女は南部スーダン初の女優であることを知った。
 (写真は上から、映画上映の後のコンサートの盛り上がり。残念、この写真は盛り上がっていません。会場の片隅で見かけた南部スーダンの美女三人さん)

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