- 2010-12-16 (Thu) 05:10
- 総合
初めての特派員に出るころ、国際部のベテランデスクから、現地の「におい」(臭いであれ、匂いであれ)が行間から漂ってくるような原稿を書いて送れ、と激励された記憶がある。そうしたにおいを原色鮮やかなマーケット(市場)の賑わいとか通りの混沌などで何とか伝えようとしたが、いかんせん私にはできようはずがなかった。
スーダンではにおいよりもまず暑さだ。北部にある首都ハルツームのラマダン(断食月)時期の暑さは後にも先にも経験したことがない。早朝、爽やかな水のシャワーを浴び、8時過ぎにホテルを出て通りに出て5分もすると、再びホテルに取って返すことになる。二度目のシャワーを浴び、外に出て、5分も歩くと、またシャワーを浴びたくなる。仕事にならない。そんな感じだった。
ジュバはそれほどではない。しかし、南アやナイロビの快適な温度に慣れた身には十分暑い。宿泊しているホテルは平屋のコテッジなので、部屋の温度計は日中35度を表示している。地元の人によると、それでも今は季節で言えば、冬の時期であり、3月から5月の夏に比べれば過ごしやすいという。これを冬と呼ぶとは信じ難い。
こう書くと、ジュバの暮らしはさぞ大変そうだが、実はなぜかそうでもない。木陰に入るとしのぎやすい。湿度がそれほどでもないのと、微風があるからだろうか。
午後3時ごろから中心部の広場に面した露天の店で紅茶を飲みながら、しばしたたずんだ。周囲にいるのは地元の黒人の人々ばかりではたから見たら、私の存在はきっと場違いだったに違いない。ひげをはやした風変わりな中国人がいるとでも思われていたことだろう。でも、ここでも自分が招かれざる客でないことは空気で分かる。
地元の英字紙を読みながら、道行く人々を眺める。白装束のアラブの民が圧倒的多数派のハルツームとは明らかに異なる世界だ。時折ものすごく背の高い男の人が通る。ルワンダのツチ族の人も長身だったが、この日見かけた幾人かの人にも目を見張った。おそらく2メートルを超しているのではないか。駆け寄っていって写真を撮りたい衝動に駆られたが、拒絶されることは分かっている。こういうことが重なるとストレスがたまる。
近くのイスに座った人が探していた別の英字紙を手にしている。目が合ったので「その新聞を探していました。読み終わったら、私に売ってください」と頼むと、「いいですよ。お金はいいです。読み終わったら差し上げます」。「それじゃ悪いからお茶をご馳走させてください」と言い、お茶代を払う。1スーダン・ポンド。町の両替屋では100ドル=252ポンドだったから、日本円だと35円程度だろうか。
広場の木の下では年配の男の人たちがプラスチックのイスに座っておしゃべりをしている。昼日中からそんなに話すことがあるのだろうかと思うぐらい、長々とおしゃべりしている。大きなお世話か。
(写真は上が、ホテル近くの住宅街で出会った物売りの若者。サッカーボールや懐中電灯などを売っていた。下が、広場の木の下で延々と長話に興じる人々)
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Comments:3
- mutsuo 2010-12-16 (Thu) 14:38
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那須君、今度おれがところにルワンダ大使のAnoine Munyakazi-juru さん(アントワン・ムニャカジ・ジュル さん)ていう人が来やるよ。ある人を介してじゃけんどんね。失礼のないごと、那須君のブログをもう一度読み直して勉強をして、ルワンダ事情を十分頭に入れて接待しようと思う。
那須君のこのブログがあって良かった。持つべきは友じゃ。おーきん。 - 石井 2010-12-16 (Thu) 15:44
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東京都市大学附属小学校の重永校長先生から、那須さんのブログをご紹介いただきました。ご縁があって、アントワン大使を今度、都市大小学校にお連れします。都市大小学校の子供たちにも関心をもってもらうきっかけになればと思います。那須さんのように、よみやすい文章の人が、長年の経験に基づいてお書きいただいており非常にわかりやすくて素晴らしいと思います。ぜひお身体にお気をつけ、レポートをお続けください。石井
- nasu 2010-12-16 (Thu) 17:46
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睦ちゃん 「持つべきは友」って書いてくれて、うれしいばい。俺の拙いブログが少しでも参考になれば、こっちこそ感謝するわな。大使に最初に歓迎の挨拶する時に、学校の簡単な説明をフランス語でやると、喜ばれるかもしれんばい。英語でもいいけどな。睦ちゃんなら「付け焼き刃」でも大丈夫
じゃが。
石井先生 ブログ読んでいただき、ありがとうございます。上に記したように、私のブログをそういう形で活用していただくだけでありがたく思います。温かいお言葉、重ねてお礼
申し上げます。 那須