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男子3日会わざれば

  • 2010-12-14 (Tue) 07:22
  • 総合

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 私が読売新聞ナイロビ支局に勤務していた時は、同業他社は朝日新聞と共同通信がいた。それぞれの支局に地元出身のアシスタントが働いていて、資料整理や会見のアポ取り付け、取材の補足などの仕事を託していた。(読売新聞の支局は今は南アフリカに移動)
 共同通信にはデニス君がいた。今は軽々しくデニス君などと呼ぶのははばかられる思いがする。この間までケニア国鉄の局長をしていたが、今は首相府のアドバイザーの要職にある人物だからだ。当時は支局の部屋が隣同士だったため、普段からよく顔を合わせていたし、日本の習慣や伝統など彼が興味を覚える事柄について質問されたのを覚えている。
 そういう昔のよしみもあり、今回の旅でナイロビに戻るたびに、連絡を取って落ち合い、話を聞かせてもらった。彼の語る話は非常に心強かった。
 デニス氏は47歳。記者生活を経て、政治の世界に身を投じた。1998年には自らの政治理念に基づき政党を立ち上げた。Liberal Democratic Party (LDP)。日本語にすると「自由民主党」になる。「ケニアでは政治理念に基づく政党はそれまで存在しなかったのです。私が実現したいのは民主主義とグッド・ガバナンス(良い政治)。ケニアやアフリカの多くの国々でまだ定着していないものです」とデニス氏は説く。
 彼が旗揚げしたLDPには当時の野党勢力もその後結集し、2002年の総選挙では野党党首のムワイ・キバキ氏(現大統領)を担いで、1978年以来長期政権の座にあったモイ政権を退陣させる下地になった。「我々はキバキ氏に期待した。しかし、残念ながら政権を奪取した彼は旧態依然のトライバリズム(部族主義)にとらわれ、出身部族のキクユ族主導の政治に走った。目指したグッド・ガバナンスからは程遠かった」とデニス氏は語る。
 彼は3年前にその政治理念を実現するべく、シンクタンクを立ち上げた。Institute for Democracy and Leadership in Africa (IDEA) というNGOだ。「ケニアでは政治思想のない国会議員がまかり通っているのが現実です。悲しいかな、当選後は自分や取り巻きが金持ちになることに奔走している。IDEAではそういう政治家ではなく、これからのアフリカ諸国をしょって立つ見識のある指導者を育てることを目指したい」。IDEAの理念に共鳴する動きはアフリア全土に広がりつつあるという。
 デニス氏はモイ政権の末期には身の危険を感じ、家族から離れ隠れて住んだ経験もある。キバキ政権になると今度は大金を積まれたり、アジアの有力国の大使への任命を打診されたりして「身内」になるよう迫られたが、政治信条を裏切るわけにはいかないと拒絶した。
 「我々がやらなければならないのは有権者に投票によって政治を変えることができるということを教育していくことです。トライバリズムを利して議席を得ようとか政治的優位な立場に立とうとするような政治家は排斥されなければなりません。ケニアの有権者はこのことが段々と理解できるようになっている。私はそう思っています。我々は同時にIDEAの理念を共有する政治家を国民に知らしめる責務があるとも考えています」
 (写真は、ケニアのそしてアフリカの政治を変えたいと語るデニス氏)

Comments:1

立川の介護福祉士 2010-12-24 (Fri) 08:51

那須さんへ
もう一週間以上、新しい話が更新されませんが元気にしているのですか?ちょっと心配しています。予定通りお正月はロンドンですか?

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