- 2010-12-04 (Sat) 06:41
- 総合
今月1日が世界エイズデーだったこともあり、このところ、エイズ関連の記事や番組をよく見かける。サブサハラ(サハラ砂漠以南)のアフリカでエイズが深刻な問題であることは今更言うまでもない。南アもしかりだ。HIV(エイズウイルス)感染率では南アを上回る国はあるが、人口約5千万の大国ゆえ、感染者数で言えば世界一だろう。
最近発表されたエイズ関連の統計では、この国の推定HIV感染者数は約560万人。15歳から49歳の年齢層の17.8%に当たるという。昨年、エイズで死亡した人は31万4千人。その大半は成人でこの結果195万人が孤児となったと見られている。単純計算で毎日900人近い人がエイズで死亡していることになる。家庭や社会経済の中枢を占める人々がこれだけの割合で死んでいけば、国家としての損失はいかばかりか。
希望があるとすれば、妊産婦の間での感染率がこの4年ほど、29.2%程度に「安定」してきていること、ARVと呼ばれる抗レトロウイルス薬の治療を受ける人の数が増えてきていることだという。
クワズールー・ナタール州のダーバンに滞在していた時、郊外にあるヒルクレスト・エイズセンターを訪れた。そこではHIV感染の有無を調べるチェック、感染が判明した人の治療、相談などのほか、感染者が出た家族を経済的に支える活動を展開していた。その中でも印象に残っているのが、センターに集う女性たちが「リトル・トラベラー」という名のビーズの可愛い人形を作っていたことだ。これを持って世界を旅行し、人々にエイズに対する注意を喚起して欲しいという狙いだが、人形の売り上げ自体がセンターで活動する感染者及びその家族に対する大きな支えとなっている。
私は「少女趣味」は全くないと思っているが、これらの人形をセンターの売店で目にした時は、買わずにはおれなかった。値段は1個20ランド(約220円)から30ランド。センターで案内してくれたクローディアさんは「可愛いでしょ。すごく人気があるんです。リトル・トラベラーというぐらいですから、“パスポート”と一緒に売っています。インターネットでも購入できます。ぜひ、日本の方にも紹介してください」と語っていた。
センターがあるクワズールー・ナタール州は南アの中でもHIV感染率が最も高い地区。クローディアさんは「問題なのはエイズに対する偏見です。感染者は恥辱と見なされ、家族や地域から疎まれる。私たちはそうした偏見をなくすことも訴えています。エイズは今やARVなどで治療できる病気(a treatable disease)です。HIVに感染した妊産婦から生まれた赤ちゃんだって健康に育つことができる。我々のセンターに来る感染者の半数以上は絶望の淵から立ち直り、将来の希望を抱いて出て行ってます」とうれしそうに話した。
「リトル・トラベラー」のホームページのアドレスは次の通り。どうぞご覧あれ。
http://www.littletraveller.org.za/
(写真は上から、ヒルクレスト・エイズセンターで売っているリトル・トラベラー。私が購入したリトル・トラベラー。「ワザ・モヤ」はズールー語で「聖霊よ来たれ」の意味)
Comments:2
- 素子 2010-12-04 (Sat) 16:14
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那須さん、こんにちは♪
ほんと、可愛いお人形ですね。
リトル・トラベラーのHP早速覗きました。
友人たちにも紹介したいと思います。
ブログを拝見するたびに、自分が知らないことがたくさん・・・と
色々考えさせられます。
お元気でお過ごしのようですね。
ふふふ・・・美女がたくさんで、なかなか帰りたくないのでは?
どうぞ、無事に(笑)お帰りくださいませ。
スリムになられて別人のような那須さんにお目にかかるのを
楽しみにしております。
田中先生も、フランスからお帰りになったようです。 - 那須 2010-12-04 (Sat) 18:51
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素子さん
リトル・トラベラー可愛いですよね。南アは問題一杯抱えた国ですが、善意にあふれた人々もたくさんいます。
いえ、美女になど囲まれておりません。スリムにもなっておりません。昨夜はヨハネスで意気投合したアフリカーナーの若夫婦と食事、赤ワインをしこたま飲んで、今朝は少しだけ二日酔い気味で目覚めました。ヨハネスも爽やかな土曜日です。昨日、町中にあるホテルを出て、郊外の静かなB&Bに移りました。とてもエッチな、いや、リッチな気分で読書などしています。