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ワインランド

  • 2010-11-28 (Sun) 06:18
  • 総合

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 旅心をかきたてられる言葉だ。20年以上前にもケープタウンから東の田園地帯に伸びるワインランドを旅したことがあったが、あまり良く覚えてはいない。ホテルにある観光冊子の一つを読むと、半日コースと一日コースがある。半日では物足りないかなと一日コースを選んだ。ガイド会社に支払う料金は680ランド(約7500円)。
 土曜日の朝、ホテルの前まで案内のマイクロバスが来た。私の他には同行の観光客はポルトガル人夫婦とイギリス人女性2人、フランス人男性1人の計5人。ガイド兼運転手は白人の男の人でフリーゾと名乗った。
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 最初に訪れたのはステレンンボッシュにあるワイナリー。冷房の効いたワイン製造所を見学した。案内の女性は「ここでは200ヘクタールのブドウ畑があり、150人の作業員が働いています。ブドウは一つ一つ手で摘みます。ブドウの品質のため夜間から早朝にかけての作業なので作業員はヘッドライトを付けて作業します」などと説明していた。
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 この後、テーブルについて白ワイン、ロゼ、赤ワインの順序でワインテイスティング。私はワインよりもビールか焼酎派だから、ワインの味はあまり関心もないし、知識もない。同行の人々は一口すするたびに「おお、これはいい。さっきのよりリッチな味わいだ」とか「フルーティーな味わいが素敵。私はこっちの方が好きだわ」などと寸評を加えている。負けてなるものか。私も「このワインは軽やかな感じがいい。魚料理に良さそうだ」などとコメントし、5人のうなずくのを見てほっとしたり。
 いや、それにしても、ステレンボッシュからパールにかけてのワインランドはケープタウンを抱えた西ケープ州が豊かな地であることを実感させられた。ブドウ畑の中に上品なゲストハウスが点在する田園風景はここが南アいやアフリカであることを忘れる。
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 ワイナリーやそのレストランで働く黒人やカラード(混血)の人を除けば、お客は圧倒的に白人だった。彼らが裕福な暮らしをしていることは駐車場の車や服装、立ち居振る舞いから容易に推察できる。話している言葉から察して、大半はアフリカーナーと呼ばれる人たちだった。かつてアパルトヘイト(人種隔離政策)を積極的に推進してきたコミュニティーに属する人々だ。同行の人たちも「アフリカに来たとはとても思えない。まるでヨーロッパの豊かな田園地帯にいるみたいだ」と語っていた。
 南アでワイン製造が誕生したのは17世紀後半。フランスから宗教的迫害を受けていたユグノーと呼ばれる人々が移住してきて始まった。ガイドのフリーゾさんは「この一帯だけでワインテイスティングが楽しめるスポットは150以上あります」と話していた。
 ワインランドが外国からの観光客を呼び、輸出ワインが外貨を稼ぎ、南アの経済を活性化させていることは間違いないだろう。南アの人々が広くその恩恵に預かり、ワインランドに対する共通認識を抱いていることを願わざるを得なかった。
 (写真は上から、ワインランドの典型的風景。ワイナリーの見学。ワインテイスティングの前に説明に耳を傾ける。レストランは白人客ばかり。黒人客は一組だけ見かけた)

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