- 2010-10-09 (Sat) 06:54
- 総合
ナイジェリアに別れを告げ、次の目的地のガーナに向かおうとしている。本来なら、ラゴスから原油生産地のナイジャ・デルタ地域に足を運ぶ計画だった。ところが、この地域ではこのところ、外国人や地元の市民を狙った誘拐事件が多発していて、誰もがナイジャ・デルタに行くことを止める。仕事なら少々の危険は覚悟するが、今の私は何の責務も後ろ盾もない身である。そういう危険を冒すわけにはいかない。
ラゴスで過ごす限り、ナイジャ・デルタの貧困も治安の悪さもそう感じない。通りを歩いていると、通りすがりに「オイボ」(白人)と耳元でささやかれるが、これは彼らなりの親しみの呼びかけのようだ。ホテルの近くの野外の飲み屋で夕刻ぼんやりビールを流し込む。道の向こうにはここで「オカダ」と呼ばれるバイクタクシーで日銭を稼いでいる若者たちが座り込んでおしゃべりしている。私と彼らとの懐の差に思いをはせないこともないではない。しかし、私はビールを飲み続け、彼らはいつまでもしゃべり続ける。
話が横道にそれたが、それで、残念ながら、ナイジャ・デルタ行きはあきらめて、一路、西アフリカの優等生、ガーナに向かうことにした。タンザニアでしたように、バスに乗っての旅を目指し、ラゴスの長距離バス会社に足を運ぶと、「ナイジェリアからガーナはベナンとトーゴを越えて行かなければならない。両国のビザを持っているのか」と窓口の男性が聞く。「いや、持っていない。ガーナのビザも持っていない。国境で買うつもりだ」と答えると、「それでは話にならない。第一、あんたがまずベナンとの国境でビザ取得でまごついている間、他の乗客はずっと待っていなければならない。トーゴはどうする。ガーナはどうする」とまくし立てる。
そう言われると、さすがに考え込んでしまう。どう考えても、ベナンとトーゴは通過するだけのトランジットだ、両国のビザは要らないと思うが、自信はない。参考までにガーナの日本大使館に電話をしてみると、ナイジェリアから来る場合はやはり、ガーナのビザを取得して入国されたほうがベターとのこと。うーん、仕方ない。バスの旅はあきらめ、空路で入ることにしよう。本当はバスの車窓から見る光景が楽しみなのだが。
それで、ラゴスにあるガーナ領事館を急ぎ訪れると、ビザ業務は週末はしません、月曜日にお越しくださいとつれない返事。これも仕方ない。段取りの悪い自分を責めるしかない。ラゴスの滞在を予定より延ばすしかない。
まあ、いいか。これまでラゴスの下層・中間層が住むイケジャ地区を中心に歩き、彼らが食すものを一緒に食べてきた。おかげでこの二三日、お腹の調子が悪い。そろそろ潮時だ。私はそういえばまだ、ビクトリア島にあると聞く高級住宅街はさるいていない。この週末足を運んでみよう。
(写真は上が、ラゴスでも携帯電話は必需品。母親が夜の道端で営む食堂で息子のモハメッド君は最新の携帯電話のネットの映像に夢中だった。下が、マーケットでは色彩豊かな野菜に目を奪われる)
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