- 2010-10-06 (Wed) 01:56
- 総合
ナイジェリアの人々が話す英語の聞き取りに苦労している。発音が個性的でしかも早口。いやはや、何度も"Come again?"(もう一度言って)と尋ね返している。ホテルの食堂でテレビのドラマを何となく眺めていて、そのドラマが英語放送だと気づくのに15分ほどかかったことがあるぐらいだ。
ここの人々が普段に話している英語は、一般にピジンイングリッシュ(Pidgin English)と呼ばれる。これがなかなか手強い。ピジンイングリッシュだけで放送しているFM局がある。ところどころ英語の単語は聞き取ることができるのだが、全体の内容がよくつかめない。油断すると何を言っているのかわけが分からなくなる。
そのFM放送局はビクトリア島にあるワゾービア・ラジオ局。ワゾービアはWazobiaと書く。この国の三大言語(部族)で英語のcomeを意味するハウサのワ、ヨルバのゾー、イボのビアを組み合わせた造語である。この放送局では自分たちの普段話している英語は単なるピジンイングリッシュではなく、立派な一つの言語であるとの認識に立つ。だから、ワゾービアはラジオ局の名前だけでなく、言語名でもある。
ワゾービア局幹部のアリジェ・アデオラ氏によると、ラゴスを舞台に放送を開始したのは2007年11月から。系列のFM放送局がラゴスの知識階層をターゲットにしており、ワゾービア局は一般大衆へのサービスを念頭に置いて開設されたという。
「英国だって、ロンドンの下町で話されているコックニーなど、さまざまな英語がある。世界中で多くの独特の英語が話されている。ナイジェリアの英語もそういう英語の一つとして考えて欲しい」とアデオラ氏は語った。
音楽番組やトークイン番組のおしゃべりからニュースまですべてワゾービアで放送される。ニュースで言えば、「先週金曜日の首都アブジャで12人が死亡した爆弾テロで警察が容疑者2人を逮捕した」というニュースは、ワゾービアでは”Police don arrest two wey do de bombing for Abuja on Friday kill like 12 people.”となる。「ジョナサン大統領は亡くなった人々の死は無駄にはしない、なぜなら犯罪者を必ず訴追し、ナイジェリアをより良い国にするからだと語った」は”Presido Jonathan talk put say all de people wey die for de bombing no go die for nothing because e go turn to shame to bad people as Naija to turn to beta place for us.”となる。犯罪者がbad peopleと表現されているのが素朴で明快だ。過去形はdon、未来形はgoで示す。「彼女はそう言うだろう」は”She go say that.”となる。上記の文のlikeはaround、weyはwhoのようだ。whatはwetinとなる。
ホテルのスタッフに毎朝”How you dey?”(How are you?)とか”Wetin dey worry you?” (What’s wong with you?)とか呼びかけると、彼らは「おお、あなたはもうナイジェリア人だ」と爆笑してくれる。いや、全然そうじゃないよ、と心中ではつぶやいている。
(写真は、ワゾービア・ラジオ局の放送スタジオで。聴取者が電話で参加するトークイン番組のパーソナリティー二人。生放送中、音楽が流れている間にお邪魔したが、番組の会話とは異なり、二人とも完璧な英語を話していた)
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Comments:1
- Mutsuyo Kadohira 2010-10-07 (Thu) 07:17
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那須さん、お久しぶりです。ナイジェリア懐かしいですね。80年代の終わりころ始めてナイジェリアに出張しました。空港に到着した直後のこと。誰かが喧嘩しているのかと思ったら、これが普通の話方であるということが、数分後、わかりました。ご相談したいことがあるのでメールください。門平