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油断大敵

  • 2010-09-15 (Wed) 04:30
  • 総合

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 ダルエスサラームを歩いていて時に気になるのは、人々の好奇心の視線だけでなく、なんとなく、いやな感じの視線を感じることだ。そういう時は十分注意する。すれ違った男が突然歩を止めたのが分かったら、一度立ち止まり、通り沿いに店を出している新聞売りや小商いの店の品々を見る振りなどして、様子をうかがう。男が明らかに自分のことを観察していることが明らかになった時は、できるだけ早くその場から安全に立ち去る方策を考えなくてはならない。
 残念ながら、今日、そういう場面に出くわした。すれ違った男が私の後をつけ始め、しかも近くに彼の仲間がいる雰囲気を感じた。まずい。どちらかに後ろから羽交い絞めにされ、ズボンの両ポケットに入れている携帯電話、デジタルカメラを盗られでもしたら、これからの取材に大打撃だ。とっさの犯行では周囲の人々の助けはとても期待できない。
 私は通りの中央分離帯にさっと出て、タクシーを大きな声で呼び止め、すばやく乗り込んだ。もちろん、私の勘違いの可能性はある。ただ、今回のようなことは20年以上前になるが、民主化される前の南アフリカでも何回か経験している。私は今回もぐずぐずしていたら、物取りが目的の男たちの餌食になっていたことはほぼ間違いないと思っている。
 前回の項でも書いたが、ダルエスサラームはどうも私が昔知っていたダルエスサラームとは雰囲気が異なるような気がしてならない。ホテルに戻り、居合わせたデューティーマネジャーに先ほどの出来事を告げると、彼は「何もなくて良かったですね。これからも気をつけてください」と実に淡々と語った。
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 諸悪の根源は貧困であることは言うまでもない。仕事がなく、食べるものにも事欠く暮らしをしていれば、人様の物に目がいく、それが金を持っていそうな外国からの旅行者であればなおさらである。
 海外旅行では、特に貧富の差の激しい途上国を旅する時は、自分の身は自分で守るしかない。経済的余裕があれば、現地の人に一緒に行動してもらうとかの自衛策を講じるのが賢明だ。もちろん、物取りが暗躍するような場所に行かなければ万全だが、私の場合そういうわけにもいかないから悩ましい。ご参考までに。
 (写真は上が、ホテルの部屋からダルエスサラーム湾が見える。こんな景色を眺めていると、いやなことも忘れさせる。下が、魚市場で客を待つ男の人たち。おい、こんなところ撮ってどうするんだよと言いたそうな顔で写真を撮らせてくれた)

Comments:2

めるすき 2010-09-15 (Wed) 09:46

現地で眺めるこの風景は特別な思いでしょうね。
碧い空と海、まるでリゾート地のような写真ですが、何かしら虚しさも感じます。
危険がいっぱい! 旅慣れた那須さんのすばやい行動に胸をなで下ろしています。
”命あっての物種”
お体張っての情報をありがとうございました。

かばでーす 2010-09-23 (Thu) 20:02

人を信じて去るくもドキドキしますね!
貧困生活に生きて我慢の精神は 戦後間もない日本と比べて
如何なものか 少し気になってきました。
今の幸せは何時までのものか・・・

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