- 2011-01-14 (Fri) 13:56
- 総合
アフリカの旅で印象に残っていることは多々あるが、スポーツ観戦で言えば、サッカーの面白さを初めて「理解」できるようになったことだろうか。それまではやはり、野球、ゴルフ、大相撲などが中心だった。
アフリカではそれが一変した。テレビで放送しているスポーツが圧倒的にサッカーだったことも一因している。だが、それよりも大きいのは、アフリカではどこに行こうと、英国やスペイン、ドイツなど欧州のプロリーグのゲームをテレビの有料放送でライブで見ることができたことだ。欧州と時差が2、3時間程度しかないことも異なる大陸のゲームをリアルタイムで楽しめる要因だ。欧州で活躍する香川(独ドルトムント)や内田(独シャルケ)など日本人選手をテレビの解説者が「こんなに能力のある選手だとは我々は全然知らなかった」と告白するのを聞くのもうれしかった。
そんなこともあって、昨夜というか本日未明はサッカーのアジア杯、日本対シリア戦を試合終了まで見てしまい、寝不足だ。勝ったから良かった。あれで引き分けで終わっていたら、この原稿を書く気力も失せていたかもしれない。
スペインのバルセロナでプレーしているリオネル・メッシ選手。天才プレーヤーであることは知っていたが、その彼のプレーを何度かホテルやバーのテレビで見た。いや、これは凄い選手だということが良く分かった。バルセロナというチーム自体が素晴らしかった。11月末にトップを争っているライバルのレアル・マドリードと戦った注目の一戦では、試合前の接戦の予想を裏切り、5対0で圧勝した。このゲームでメッシは自らゴールを挙げることはできなかったが、得点に絡む見事なスルーパスを連発。私はテレビの前で感嘆の声を上げていた。2年連続で世界最優秀選手・FIFAバロンドールに選出されたのもむべなるかなだ。
サッカーのことはあまり分からない私にとって、醍醐味を感じるのは、攻めに入った時、複数のプレーヤーが何度もパスをつなぎ、最後にゴールネットを揺らす時だ。お互いにパスがつながらず、0対0で引き分けというゲームは見ていても退屈だ。上記の一戦ではバルセロナは相手のチームにボールを触らせることなく、ゲームの大半を支配していた。各自が自分の役割をわきまえたオーケストラの演奏をピッチで見ているようだった。
アフリカでは仕事を終えた人々が集う食堂兼飲み屋のような場所にも何回か足を運んだが、ゲームが始まるころになると、テレビの前はサッカー好きの常連が陣取っていた。イングランドのプレミアリーグが人気のようで、それぞれがひいきのチームを持っており、賑やかにサッカー談義を繰り広げている。それぞれの国に地元のリーグがあるが、彼らの目はアフリカから多くの黒人選手が活躍している欧州のリーグに注がれているという印象だった。彼らと一緒にテレビを見ていると、決まって何人かが「あんたの好きなチームはどこだ。俺はアーセナルだ。ずっと応援している」などとプレミアリーグのことを独自に解説してくれる。20年前はこういう光景はありえなかった。技術革新と”the beautiful game”とも呼ばれるサッカーは確実に欧州とアフリカの「距離」をますます近くしている。