- 2010-10-29 (Fri) 04:59
- 総合
地元紙を読んでいたら、ケニヤッタ大学で大学祭のような催しの案内が出ていたのでタクシーで大学を訪れた。ナイロビの中心部から20キロほど北東にある国立大学だ。
ケニヤッタ大学はもちろん、建国の父、ジョモ・ケニヤッタ初代大統領にちなんだ命名された大学で、1985年の創設。当初は教師を育成するのが目的の単科大学だったが、今は国内7キャンパス、14学部の総合大学に成長、総勢2万5千人の学生が学んでいる。
大学祭の会場であるメインキャンパスの広場を訪れた時、開会式典に続き、歌や踊り、漫談などのエンターテインメントが催されている最中だった。コーラスの出番を終えたばかりの女子学生のグループが隣にやってきて、学生の漫談を大きな笑い声を上げながら楽しんでいる。「屈託が無い」という表現にぴったりの笑顔だ。スワヒリ語が基本の漫談なので、私には理解できない。女子学生だけでなく、一般の人々が交じった聴衆もどっとわいている。どうも、ケニアのエスニック・グループ(民族・部族)の異なる英語のしゃべり方(アクセント)を面白おかしく紹介しているらしい。
広場の周辺部では外国人学生のお国紹介のようなテントが設けられており、中国人学生や韓国人学生グループの模擬店があった。広場で警備に当たる女性の警備員がいたが、私の少ない経験ではたいがいこういう場でも彼女たちは難しい顔をして警備に当たっているものだ。ところが、この警備員は私がそばに立っていると、「今のグループの歌の途中で拍手が起きたでしょ。意味が分かりますか?」と話しかけてくる。「さあ、激励の拍手かな?」と答えると、「その反対です。お粗末だったので、早く退場せよと、一部の聴衆が拍手したんですよ」。「はあ、なるほど」
会場から引き上げる途中のカップルに声をかけた。オースティン君とリリアンさんの二人。二人ともに経済学を学んでいるという。「いい雰囲気のキャンパスですね。私は昔ここで勤務していたが、ケニヤッタ大学には初めて来ましたよ」と声をかけると、「ようこそ、そうです。いい大学ですよ。僕らは楽しく学んでいます」と足をとめてしばし付き合ってくれた。「エスニック(民族・部族)的な問題ですか。正直あまり意識したことはありません。友達になって、メールを交換するようになり、フルネームを知って初めて友達のエスニシティを知ることがほとんどですから」。そばでリリアンさんもうなずく。「僕はルオですが、彼女はキクユです。何の問題もありませんよ」
オースティン君とは翌日、ランチを食べながら、さらに話を聞かせてもらったが、「僕はケニアに生まれて良かったと思っています。他の国に行って学びたいとは思いません」と話した。ランチの後にコーヒーでも飲もうと思っていたら、「すみません。僕はこれから大学祭のステージでラップを披露することになっているんです。もう、そろそろ行かなくては。ランチご馳走様でした」と20歳の若者は足早に喫茶店を後にした。
(写真は、ケニヤッタ大学の大学祭のメインステージ。笑顔が一杯の女子学生たち。キャンパスで1本だけまだ満開のジャカランダの木を見かけた)
Comments:2
- Michi 2010-10-30 (Sat) 17:01
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こんにちは。数か月前にナイロビのインターネットカフェでお会いしました。いつも興味深く拝読しております。南スーダンは来年1月の住民投票が間近に迫ってきた感があり、住民投票がらみのデモが多くなってきました。先々週出張でナイロビに行った際にジャカランダの花が美しかったのを、この記事の写真を見て思い出しました。
- 那須 2010-10-30 (Sat) 17:40
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Michiさん 良く覚えております。読んでいただきお礼申し上げます。南スーダンのこともBBCや新聞でフォローしてはおります。明日から南アに入り、12月上旬にまたナイロビに戻る計画です。その後、経済的余裕があれば、周辺でもう一か国訪問したいと考えています。正直に言いますと、エチオピアにするか、南スーダンにするか迷っています。20年前に泊まった廃墟のようなジュバホテルがどうなっているかぜひ見てみたいという思いもあってのことですが。
南スーダン訪問を決めましたら、いただいた名刺のメルアドにその旨メールを送ります。お話を聞かせてもらえればと願っています。