- 2010-10-07 (Thu) 23:12
- 総合
「コラプション(腐敗・汚職)がなくなることは大切だけど、それだけを叫んでいればすむというものでありません。子供たちに食べさせ、学校にやらなければ何にもならない。第一、政治指導者にその気がなければ、問題は全然解決に向かって進まないことを私は経験から知っています」
ナイジェリアの人権活動家で弁護士として名高いアヨ・オベさんはイコイ島の自宅で、この国が抱える諸問題について語ってくれた。ナイジェリアで最も古いCLOと呼ばれる「市民の自由」を擁護する組織の代表を1995年から2003年まで務めた。アバチャ軍事独裁政権からオバサンジョ政権へと民政移管された時期にまたがる。
オベさんに言わせると、政治指導者がコラプションで私腹を肥やすのに走るのは、「彼らがいかに想像力が欠如しているかを物語っています。なぜなら一般の大衆が貧しくて苦しい生活を送り続ければ、それはやがて、自分たちの子供たちの生活を脅かすことになるのです。そのことが全然理解できていない」ということになる。
「ナイジェリアでは昔から次のような言い伝えがあります。貧者はお腹がすいているから眠れない。金持ちは貧者が眠っていないから眠れないと」
「オバサンジョ政権時代には汚職追放で国民は大きな期待を抱きました。私たち人権活動家がオバサンジョ大統領と会談したことがありました。当時、農業省と国連機関の間の不正疑惑が問題になっており、我々がそれを指摘すると、大統領は証拠の書類が見つかったら、自分に送って欲しい、と語りました。彼は大統領です。警察や公安機関を含め、調べようと思えば、簡単に指揮できるのです。要するに疑惑を解明する気がはなからなかったのです」
彼女はこの国の三大部族(民族)の一つ、ヨルバ族の出身。彼女の希望は部族的な相違、確執が「軽く受け流すことができる」程度に薄まることだという。「ナイジェリアのサッカーチームが国際ゲームでゴールをあげればうれしい。それがヨルバの選手であれば正直、うれしさも倍加するが、イボやハウサの選手がゴールをあげても喜びには変わりがない。その程度のものになればと願います」
彼女は4人姉弟の一人で、娘が一人。近しい家族は結婚でヨルバの人だけでなくなっている。「とても親しい友人2人ははイボの人だし、相談事があれば彼女たちにします」
ヨルバという呼称についても、彼女は先祖の人々はそういう認識はなかったのではないかと語った。「ヨルバは他の人たちが付けた名前です。ヨルバの人たちは例えば19世紀末には自分たちの間だけで戦争に明け暮れていました。だから負けた側の多くの人がブラジルに奴隷となって送られました。ブラジルでヨルバ語を話す大きなコミュニティーがあるのはこのためです」
(写真は上が、問題はあるものの、ナイジェリアの将来を楽観視するオベさん。下が、ラゴス市内の私立小学校兼保育園で、授業前の子供たち。授業はすべて英語で行われる)