- 2010-10-04 (Mon) 19:56
- 総合
20年以上前からナイジェリアを訪れるたびに、行ってみたいと思っていた所があった。ラゴスの湾内の海上で暮らす人々の地区だ。ラゴスはメインランドと呼ばれる本土のほか、ビクトリア島、ラゴス島、イコイ島の三島から成っている。メインランドからイコイ島に向け、アフリカ一と言われる11.8キロの長大な橋を車で走っていると、やがて、右手に海面に建てられた無数の家々が見えてくる。
ここで利用しているタクシードライバーのトゥンデ氏は多少土地勘があるとのことで、彼を信じて上記の地区に案内してもらった。橋を渡り終えたところで、車を降り、ガードレールをまたいで、住宅街のようなところに案内された。ここはまだ地面がしっかりとある。上半身裸の屈強な若者たちがサッカーに興じている。
数人の地元住民に紹介され、材木置き場のようなところを少し歩くと、水辺に着いた。材木をくり貫いたようなボートが浮かんでおり、これに乗れという。少年が棒でかじをとって奥に入っていく。そう丈夫そうには見えない木材を柱とした家々が間近に見えてきて、ボートはその間を巧みにすり抜けていく。水は真っ黒だ。少し鼻につく臭いがする。水面にはさまざまなごみ、廃物が漂っている。
家々を回って商いをしているボートとすれ違う。若い女性が一人でこいでいた。ボートの中にはラゴスの通りの露天で売っているお菓子や食べ物がきちんと並べられていた。女性のための美容室もあり、日曜日でも営業していた。普段はもっと商いのボートが行き来しているという。
とある一軒の家にこぎつけ、「庭先」に立って、住民に話を聞こうとした。トゥンデ氏が言う。「ここらの人は英語は通じないよ」と。それでも、少年の一人が出てきて、相手をしてくれた。16歳のロドリック君で一家は隣国のトーゴからやってきたという。彼はここで生まれずっと水上生活。学校は陸地にあり、ボートで通学している。「水がある生活が一番自分たちには向いている。将来の夢は医師になること」と話してくれた。
トゥンデ氏は「私は泳ぐのが苦手だからとてもこういう生活はできない。彼らにとって土地(水上)はただだから、こういう生活が手軽で気楽なんだ」と解説してくれた。ここの住民は漁業にも従事しているが、最大の稼ぎは木材業だという。材木置き場と思ったところは実はオコババ製材工場と呼ばれる、アフリカ最大の製材所という。国内各地から材木を縛って流れに乗せ、ここに運んで来るのだという。
ここでは排泄物もすべて水中に投じられる。そういう水上生活が「快適」とは思えなかったが、私のような部外者が突然やって来ても、地元の人々が快く案内してくれる寛大さ。改めて、この国の人々の懐の深さを思った。
(写真は上から、長大な橋の上から水上生活の家々を眺める。左端には建設中の家が見える。老朽化が目立つ家。家々を回る商いのボート。案内してくれた地元の住民。記者時代にはこんな記念撮影のような写真を撮っていたら、デスクからすごく怒られたものだ)
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Comments:4
- 美奈子 2010-10-04 (Mon) 21:53
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雅史と申します。
おばに頼まれ代筆します。
「ブログを読ませてもらいました。これからも楽しみにしてます。私の方は念願の『終の棲家』にたどり着き元気にやってます。いはらさん、裕子ちゃんと懐かしい名も・・・
体にはくれぐれも気をつけてまた逢う日まで」 美奈子 - nasu 2010-10-05 (Tue) 00:47
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雅史さん ありがとうございます。ひょっとしたら宇奈月温泉か美奈子でお会いしてますか。ママさん、葉書が届きましたね。お元気そうで何よりです。ママさんのいない美奈子は想像しにくいですが。(参考までに「美奈子」とは東京・千駄木のすずらん通りにあるスナックです。私の青春と美声が費やされた場所です)ママさん、「終の棲家」から気ままにさるいて(旅して)ください。このブログに目を通していただいてうれしく思います。ここアフリカは日本のように行かないことも多々ありますが、日本では味わえないいいことも時にあります。那須
- 恒さん 2010-10-06 (Wed) 20:38
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元気でなによりです。宮崎で又ゴルフやりましょう。
- 那須 2010-10-07 (Thu) 02:34
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恒さん お懐かしい。今日はパソコンの調子が悪く、ほとほと泣きました。インタビューのお願いで送らねばならぬ私にとってとても大事なメールがあったのですが、ほぼ1日モデムと格闘する実に無駄な時間を過ごしました。ホテルのモデムに見切りをつけ、ホテルで働いている気のいい青年を誘い、やけくそのビールでも飲みに行こうとしたら、この青年が近くのサイバーカフェに行こうといいます。だめもとで来てみたら、何と2分でつながりました。料金も信じられないぐらい安い。地獄から天国です。ああ、宮崎のゴルフ場でゴルフがしたいですね。